ペコリンゴ

魔人ドラキュラのペコリンゴのレビュー・感想・評価

魔人ドラキュラ(1931年製作の映画)
3.5
記録。
ブラム・ストーカー原作。「フランケンシュタイン」等と共に、ユニバーサル・モンスターズ屈指の有名作。

クラシックかつ荘厳なゴシックホラーの古典。気にいるかそうでないか問わず映画好きなら観ておきたい、そんな風に思わせる作品だ。

耽美的で美麗な美術、約90年前の作品にも関わらず目を見張る壮大さで度肝を抜くセットや、「白鳥の湖」の美しい旋律が演出する幻想的かつ退廃的なオープニングは、時の試練に打ち勝つ大きな魅力。

だが、なんと言っても特筆すべきは怪優ベラ・ルゴシの追従を許さない唯一無二の存在感。本作で怪奇スターとしての絶大な支持を得た彼は、以降も幾多の怪奇映画に出演することになる。

晩年はクソ映画の帝王こと、エド・ウッドの映画に出演することになるが、本作でルゴシが魅せる眼力、佇まい、風格は色褪せることのない宝石の如き輝きだ。

映画自体は非常にスローテンポでラストも非常に呆気ないもの。名作である事は間違いないけども、現代の目線では少々退屈に思えるかもしれない。
個人的には、同じユニバーサル・モンスターズなら「フランケンシュタイン」や「透明人間」の方がオススメしやすいように思う。