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魔人ドラキュラのHKのレビュー・感想・評価

魔人ドラキュラ(1931年製作の映画)
3.4
黒マントにタキシード、オールバックのドラキュラ伯爵のイメージを決定づけたユニバーサルの古典ホラー。
原作はご存知ブラム・ストーカー、監督はトッド・ブラウニング(『フリークス』)。
ドラキュラ役は本作を機に怪奇映画スターとなったハンガリー人のベラ・ルゴシ。
後のハマープロのクリストファー・リーのドラキュラは何本も観てますが、本作は初見。

オープニング曲は意外やチャイコフスキーの“白鳥の湖” 。
ルーマニアはトランシルヴァニアのドラキュラ城から始まるお馴染みのストーリーは他のドラキュラ映画と大筋は同じながら独自のアレンジも。
本作では序盤でドラキュラ城を訪れる弁護士ジョナサン・ハーカーと後にドラキュラの下僕となる狂人のレンフィールドが一体化して一人のキャラになっています。

お馴染みドラキュラの3人の奥方も出てきますが、ドラキュラ城にコウモリやネズミやクモだけでなく、アルマジロが何匹もいたのは想定外。原作にも出てたのか?
夜の城内、地下墓所でゴトンと棺桶の蓋が開く音が不気味。

この頃のメイクではドラキュラの牙はまだ無く、赤い目もモノクロなのでセリフだけの表現、したがってルゴシの目力が大きくモノを言います。

舞台が海を越えてロンドンに移るとヒロイン兼犠牲者キャラのミナやルーシーの登場。
ドラキュラの宿敵エイブラハム・ヴァン・ヘルシング教授は、もちろんイケメンのヴァンパイア・ハンターなどではなくアクションとは無縁の老教授。
吸血鬼が鏡に映らないのもお約束ですが、本作での吸血鬼除けはニンニクではなくトリカブトでしたが原作もそうなの?

実はドラキュラ役は当初内定していたロン・チェイニー(『ノートルダムのせむし男』『オペラ座の怪人』)が47歳で急死したため、ブロードウェイ版舞台でドラキュラを演じていたルゴシに回って来たとか。
ハンガリー訛りのルゴシの英語もキャライメージにはプラスに働いたようです。

ところで、驚いたのは本作のスペイン語版の存在。
スペイン語版と言いながら、単なる吹替ではなく、同じセットを使ってスタッフ・キャストを入れ替えてほぼ同時に撮ったというからビックリ。ちょっと見比べたい気が。
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