邦題から受けた印象とはほど遠い映画でした。
ようやく終戦を迎えて平和なひと時が訪れる話かと思ったらとんでもない。
戦争が終結しても延々と続く痛々しい悲劇の連鎖が描かれます。
第二次大戦後、ドイツ占領下だったデンマークの海岸に埋められた数百万もの地雷を撤去させられることになった捕虜のドイツ軍少年兵たちの話。
史実に沿った話であり、デンマークとドイツ両国の合作です。
映画が始まって表示されたタイトルは“Land of mine”
mineの意味は“私の” “鉱山”、そして“地雷”。
少年兵たちが毎日必死に掘り起こすのは金や銀の鉱山ではなく砂浜の地雷です。
ちなみに上記は英語のタイトルですが、デンマーク語の原題は“Under sandet”(砂の下)。
地雷の扱いなどほぼ未経験の10代の少年兵たちは、故郷にも帰れずろくに食事も与えられず一日中地雷撤去作業をさせられます。
素人ですから爆死する確率も高く、事実2,000人ほどの地雷撤去に従事したドイツ少年兵の半数が死亡するか重傷を負ったそうです。戦争は終わっているはずなのに。
撤去作業そのものももちろん過酷ですが、それまでドイツ軍に酷い目に遭ってきたデンマーク兵たちから注がれる憎悪がもっと過酷かも知れません。
命をかけて地雷を撤去しても感謝されず、空腹だろうが爆死しようが自業自得だと言われます。地雷を仕掛けたのはこの少年兵たちではないのに。
冒頭で多くのドイツ兵たちがデンマークから出ていけと罵られますが、地雷撤去に従事するドイツ少年兵らはデンマークから出ていくことも許されません。
このドイツ少年兵たちの扱いに疑問を持ったデンマーク軍の軍曹の最後の決断は脚色ではなく事実だったことを願うばかりです。
