いい。すごく、いい。
ギャング絡みの話なので暴力や撃ち合いなどは多いし、子どもの前ですべきじゃないとの声は正しいと思う。でも、それらは決してメインではなく、これは父と娘のピュアな愛情の話。

誰が味方か分からず、誰からも襲われるジョンウィックのような危機的状態で、必死に娘を守る父親を見事に演じるタロン・エガートン。血管の浮き出しや目の動きなどからも、必死さが伝わり、俳優としてのすごさを感じた。自分で自分を守れと、娘にバットの使い方を執拗に教えるシーンが印象的。

プロとしては当たり前なのかもしれないが、UK俳優と忘れるほどアメリカ英語に馴染んでいたのも、すごいとしか言えない。

娘役の子が、また素晴らしい。当初の父親への不信感や恐怖から、絶望を経て、いつしか自然に愛情が生まれ、娘もまた必死に父親を守ろうとする。

低学歴なのだろう。簡単な計算ができない父親に、自分もまだ習ったばかりだと思うが、娘がモゴモゴと数字をつぶやきながら計算してあげるシーンが可愛い。娘の成長に驚き、少しうれしそうな父親もまたいい。

個人的には、色々なドラマでよく見るRob Yang、『運命の7秒』のDavid Lyonsもよかった。

オリジナルである小説も、是非読みたいと思わせてくれた好きな作品

She Rides Shotgun　2025年作品
6.5/10
ニック・ローランド監督脚本
タロン・エガートン　ジョン・キャロル・リンチ
オデッサ・アジオン　アナ・ソフィア・ヘーガー
ロブ・ヤン　デヴィッド・ライオンズ
キース・ジャーディン
元囚人のネイト・マクラスキー(エガートン)は、自分の所属していた白人優位主義者の組織を
抜けるたことで命を狙われ、別れた妻は殺され、残された11歳の娘ポリー(ヘーガー)と一緒に逃げる。
ポリーは父親と殆ど一緒にすごしたことはなかったが、すぐに打ち解ける。
組織の長は保安官(リンチ)で警察内部にも構成員がいて、ネイトらは厳しい追跡に遭う。
ジョン・パーク刑事(ヤン)はアジア系の真面目な警官で、二人に取引を申し出る。
入れ墨だらけの前科者をエガートンが熱演していて、最近のエガートンの活躍には
感心する。しかし父と娘の関係が長年疎遠だったにしてはあまりにスムーズすぎたて、
ご都合主義的であったり、地域を支配する白人優位主義者の組織というのが、
あまりに物語的でリアルに感じられなかった。
ジョン・キャロル・リンチは最高の役者の一人だと自分は思っているのだけれど、
悪の保安官というのは彼にはあっていなかったと思う。
大柄で心の優しい男というのが自分の中のイメージ。悪役を演じていても
優しい目が演技の邪魔をしている。