R

クルージングのRのレビュー・感想・評価

クルージング(1980年製作の映画)
4.5
クルージングと言えば、一般的にはヨットなどによる巡航を意味するが、ゲイの世界では、面識のない適当な男とカジュアルなセックスをするために、特定の場所にお出かけすること。Cruising Ground(日本語ではハッテン場)と呼ばれる場所は、さまざまなものがあり、深夜の公園、公衆トイレ、公衆浴場、サウナ、映画館、クラブ、有料屋内ハッテン場などなどが含まれる。とにかく人目につかない、というのがハッテン場の最も顕著な特徴。とある中国映画では、真っ暗なハッテンサウナで、実の親子同士が、お互いに親子だと気づかぬままセックスしてしまう、というねっとり湿度の高い衝撃にえぐられるシーンがあったのを思い出す。ハッテン場ではお互い知らない者同士が何よりもまず欲望をぶつけ合う、という点で、ヘテロセクシュアルで言うところの、人気ナンパスポットみたいな感じでしょうか。んー、ちょっと違うかな? まあそれは置いといて、本作では、そのようなハッテン場のひとつ、超アングラなSMクラブが舞台となる。ニューヨークのゲイタウン、グリニッジビレッジでは、男性ホモセクシュアルばかりを狙った、ナイフによる連続殺人事件が起きている。犯人をつきとめるべく、潜入捜査官として、ビレッジに棲みつく警察官バーンズ。ゲイのふりして、ハードゲイSMクラブに通いながら、それらしき人物を探す過程で、肉欲と肉欲が所狭しとぶつかり合うゲイワールドに魅せられ、感化されていく男の苦悩を描いている。主人公の捜査官を演じるのが、ピチピチのカワイイ時代を過ぎ、枯れの見え始めたアルパチーノ。すごい映画に出てますね。冒頭のいきなり激しい殺人シーンから、とにかく全編見どころ満載、ナイフを突き刺すシーンに、なんか一瞬エロそうな映像が挿入されてるな、と思ってコマ送りで見たら、アナルにペニスを突き刺している映像。日本にしては珍しく無修正モロ見え! 一瞬すぎて映倫も見落としたか⁈ そして、何よりSMクラブの光景がスゴイ! そこにいるほとんどがレザー姿の白人のオッサンで、エアコンがきいてないのか、きかせてないのか、雄汁がこっちまで匂ってきそうなほど、汗と熱気がムンムンに充満。そこら中でキスしたり、男根や乳首にシャブりついたり、ペニスでアヌスを突き上げたり、挙げ句の果てには、腕にローションぬりたくり、レザースウィングで物欲しげに待機してるオッサンに、フィストファックまでしてまう始末。周りにいる誰しもが、エクスタシーを求めて犇めき合う、デカダンなリビドーのカオスに混じって、イケないモノを吸って、クラクラしながら、汗だくでダンスしてたら、さすがのアルパチーノもムラムラきてしまったのでしょう。元々いる彼女への対応が面白いほど変わっていく。ほんで、いつの間にやら惚れてしまうんですよ、どーしよーもないけど、カワイイあいつに。もはや、殺人事件の犯人探しからフォーカスが逸れ、逸れるどころかそっちのけで、バーンズの人生の劇的変化のプロセスと帰結を毒々しく描いていく。その果てのラストは、いくつか解釈の余地を残す、意味深長なバイオレンスで幕を閉じる。最後の最後の危なげな曖昧、アルパチーノの恍惚、彼女のレザージャケット、よいですねー! こんなまがまがしい映画、久々に見たわー。世評は低いようだけど、こんなに時間を忘れて魅せられた映画は久々。ゲテモノ万歳。まさかメジャーな劇映画で、これほど多くのジョックストラップを見る日が来ようとは! 満足と悦びの加点! あと意味不明すぎるGストリングの黒人ビンタ!!! 爆笑やった!🤣🤣🤣 どういう存在やねんあれは一体🤣 作品から異常な熱気が伝わってくる本作を監督したのは、あのエクソシストのウィリアムフリードキン。この監督いろいろ見たけどかなり好きやわー。どの作品にも漂う、度を越した狂おしさが最高に愛おしい。まだ見てない作品がいくつかあるので、近いうちに見ていこうかな。
R

R