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恐怖の火あぶりのRのレビュー・感想・評価

恐怖の火あぶり(1979年製作の映画)
4.4
恐怖の火あぶりて笑 いかにもB級ホラーらしいタイトルが素晴らしいですね。英語では、Don’t go in the house、お家に入るな。日本語タイトルの方がイイやん😆 タイトルから期待されるとおりフツーにB級ホラーなのだが、これがかなりおもしろい作品になっている。一応スラッシャー映画のジャンルに入るのかなと思いますが、残酷な殺害シーンは前半に一個しかないため、そういうシーンを多く求める方が見るとがっかりする可能性が高い。まず主人公のドニーは、巨大な工場の焼却炉で働いてて、ある日、同僚が炉内をかき回しているときに、中にあったスプレー缶が爆発して、一瞬にして全身が炎に包まれる! だが、ドニーはその様子をだまってじっとただ見つめているだけ、助けようとしない。そこに他の同僚がやって来て、慌てて助けながら、なんで助けないんだ! お前は頭がおかしいのか⁉ と罵られる。すると、これで悪魔が取り除かれた、とか訳の分からぬうわごとをぬかしておる。そうなんです、ドニーは頭がおかしいです。ぼんやりとした様子でお家に帰って来たドニーは、ママにお茶でも入れてあげようかな♪と呼びかけると、ママの返事がない。おや?っと思ってソファをのぞいてみると、おかん、げんなり。胸に耳を当てると、心音がない、うええええええええええん!!! そこらで過去がフラッシュバック。なんとドニーは母親から虐待を受けていた。ちょっと気に入らないことがあると、ママはマッチを擦ってガスコンロに火をつけ、ドニーの腕を焼いていた。きっとこれが何度も何度も繰り返されていたのでしょう、ドニーは炎に取りつかれている。夜、ドニーは車で出かけ、何やら購入して、帰りに閉店後の花屋に立ち寄る。閉店してるわよ! と拒まれる。お母さんが病気で花を持って行ってやりたいから、シンプルなものでいいから、買わせておくれ、後生だから! 人の良い店長さんはなかなかの美人さんで、奥の部屋から彼にブーケをひとつ持ってきてやる。その後、店の外で彼女を出待ちして、車で送ってあげることになるのだが、どうせなら家に寄ってママに会ってくれ、彼女は出歩かないから本当に人に会わないんだ、かわいそうだ、後生だから会ってやってくれ、と。しょうがないわねん、と行ってあげる店長さん。みなさん、知らない男に誘われた場合は、それがどんな場合であっても、ぜったいに家について入ってはいけない。お家に入るな。特に、出会い系アプリで盛んに活動されている女性の皆さん、もぞもぞと這い上がってくる性欲が抑えきれず、見知らぬ男と出会って、一緒にちょっと飲んで、アルコールでムラムラが昂まり、もうええわ、この人でええわ、この人んちでええわ、と軽い気持ちでついて行ってしまいたい気持ちは、だれよりも分かっているつもりです😌 しかしながら、やめときなさい!!! そういう皆さんが最悪いったいどういう目に遭う可能性があるか、それを描いてくれています。とくとご覧になってください。これは、こわい。ものすごく想像力が掻き立てられるクレイジーなシーンです。ドニーは一体いつからこんな万端の準備を整えていたのか、アレを全身にかけられるとき、いったい女はどんな気持ちになっているのか、どれほどその匂いがおぞましいものであるか! そして、その苦痛たるや、想像を絶する!!! しかし、人間はその歴史でこれとまったく同じことを数多行ってきたことも忘れてはなるまい。それも原因は悪魔と関連があり……怖くてゾクゾク来ます。ここから先は、その恐怖の成果物を見ることはできるが、プロセスを見ることはできない。見たい! まぁ、何度やっても同じようなことになるだろうから繰り返されてもしょうがないのだろうけど。見たい! せめてもう何体かは見たかったよね。簡単に言うと、ドニーはシリアルキラー。そのハンティングの様を見ていくことになるのです。たまにこういうシリアルキラー系の映画を見ることがありますが、本作が他の作品と違うのは、ドニーには、実は彼のことをちゃんと人間として扱ってくれる人がいる、ということ。その名はボビー。彼は、ドニーが事故の件で会社で猛烈に批判されたことにも、パニック時には動けなくなるよな、と声をかけてくれたり、今度遊びに行こう、とか、また休んだら仕事クビにされるぞ、と細かく声をかけてくれる。ドニーに関して心配がつのると、教会に行って、神父さんにどうしよう?と相談までしてくれる。何ていいヤツなんだ😭 満点です。この映画にあなたがいるだけで。ボビーはドニーをクレイジーな行業から救い出してあげることができるのでしょうか。僕個人としては、本作はこないだ見た『マニアック』であるとか、とある世界最大のサスペンスの巨匠の最も有名な作品(作品名を言ってしまうと、その作品のネタバレになってしまう)に非常に類似していると思いました、特に終わり方とかほぼいっしょやん! 全体的にチープで楽しい雰囲気もいいし、心を蝕んでくるような前衛音楽もイイ、また、とんでもないテーマの作品なのに、ディスコ時代だからか、ノリノリのディスコミュージックがかかりまくり。そのうち一曲はベースラインが良すぎて、これはリサーチして探さないといけませんわ。いやー、B級映画やけどなかなか楽しめました。何個か笑えたシーンもあったんやけど、ひとつだけほんまにおもろかったのが、恐ろしい姿の女が突然出てきて、ドニーに言うセリフの字幕。「おまえをこらしめてやる!」 めっちゃ怖いはずのシーンでその和訳🤣 特に誰にもオススメはしないですが、なかなかよかったですよ!
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