『ブラックベリー』のマット・ジョンソン製作・主演のタイムスリップ・コメディ。めちゃくちゃ面白かった。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のメタ的なオマージュという形を取っている本作だが、その設定を上手くブロマンスなコメディに落とし込んでいて感心する。更にこれまでと同じく本作でも手持ちカメラでの撮影を取っているが、本作ではそれがしっかり意味付けされていて尚のこと良かった。 そのタイトルが示しているように音楽的なレファレンスが多用されているかと思いきやそうでもなく、タイムスリップとブロマンスの方に着眼点を当てているのが良かった。Anthony Fantanoのカメオ出演など如何にもな演出もあったが、独り善がりなインディームービーに終始しないようなバランス感覚だったと思う。 また本作のタイムスリップ先として2008年が選択されているのだが、2008年がノスタルジアの向き先として設定されている事自体が感慨深い。インターネットカルチャーを中心に巻き起こっている2025年時点での2006〜2010年辺りへの強烈なノスタルジアが作品に反映されていて、特にファッションの解像度が超高くて笑ったし、『ハングオーバー』が劇中で懐古的なアイテムとして作用してしまっている事実に加齢を感じる。 とはいえ自分は2008年時点で小1だったのだが、うろ覚え且つ後追いで2008年のカルチャーは多分に摂取しているので、例えば「Let’s Get It Started」が街中で流れている光景にも自分の懐古心は共鳴する。2026年現在ではY2Kを過ぎて2012〜2014年辺りへのノスタルジアの萌芽が垣間見えるので、そのような作品が作られるのも時間の問題(エレクトロポップなど、音楽では既にリバイバルが起こっている)と考えると時代の経過が恐ろしい。