カルダモン

グエムル -漢江の怪物-のカルダモンのレビュー・感想・評価

グエムル -漢江の怪物-(2006年製作の映画)
4.2
今見るとどうしても古臭さは拭えないが、当時はなかなかショッキングだった。韓国映画の振り幅を見た愛すべきポンジュノ作品。怪物映画の体を装った家族ドラマであり環境映画。ソンガンホのダメ親父が徐々にシリアスに向き合っていく姿に引き込まれる。

冒頭の、怪物が登場するまでが大好き。橋にぶらさがってるビジュアルもいい。
川沿いの売店でイカを焼く場面から怪獣登場までの滑らかさも秀逸。

醜悪なのに滑稽さを隠しきれない後ろ足がキュート。南国少年パプワくんに出てくるオタマジャクシの「タマちゃん」というキャラを彷彿とさせ、ゴロゴロ転げ回る姿は愛嬌たっぷりで、キモいのになんか可愛い。

ところでこの映画はロケーションも見所の一つ。橋のトラス構造や巨大な排水溝のコンクリート柱が奇妙な魅力を放っている。「地下の神殿」と呼ばれる首都圏外郭放水路のように、どこか異世界への通路のようで、不気味でありながらも美しい。