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目次
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『PARTY7 2Kレストア版』に投稿された感想・評価
vanの感想・評価
2025/12/11 17:32
4.0
【石井克人ワールド ー30th Anniversaryー 】①
「珍味」系への癖を増長させた、珠玉の一本!🤣🤣
◆ こんな方におススメ ◆
◎クセ強な人物の、とりとめない話を愉しみたい方
◎洗練された「語り口の妙」に、腹を捩られたい方
✖密度の高い「起承転結」を求める方は、不向き
◆ 事のあらまし ◆
三木は、ある目的を胸に古ホテルにたどり着く。
やがて、彼の元カノ、彼女の婚約者が集結する。
さらに、アニキ分と組の若頭が場をかく乱。
裏には、その混沌の部屋を覗く二人の人物がいた。
◆ 総評 ◆
劇場二回目。
リアルタイム視聴済み。
私にとって、非常に重要な作品だ。
◇
時は、2001年の元旦。
世間は、初売りとおせち、
ハートフル映画が街を占める中。
二つの映画のどちらを見るか、
私は大いに悩んでいた。
一つは本作品『Party7』。
一つは『ダンサー・イン・ザ・ダーク』。
悩みぬいた末に、本作を決断。
結果、最高の正月を迎える事ができた。
◇
正直、言語化が難しい作品だ。
ストーリーラインを取り出すと、
ほぼ何も起こっていないからだ。
内容が無いように駆け抜ける中、
本作は「語り口」だけで満たして行く。
逆に言えば、好き嫌いが大きく別れる部分だ。
独特の「間」や「ニュアンス」が掴めないと、
本作を愉しむのは難しいかもしれない。
「間」や「ニュアンス」は、言葉で語れない。
語れば語るほど、空を斬ってしまう。
だが俳優陣が、解像度の高い演技を発揮する。
コミカルながらも、変で奇妙な人物を熱演。
個性の強すぎるキャラ達が、
所せましとその魅力を発揮して行く。
◇
監督は石井克人氏。
CMディレクターとして、広告映像を制作。
2001年公開のテレビドラマ、
「世にも奇妙な物語 SMAPの特別編」
木村拓哉主演『BLACK ROOM』脚本・演出を担当。
オープニングの鮮烈なアニメは、小池健氏。
音楽はジェイムス下地氏が、それぞれ担当。
後に同じタッグを組む、
『LUPIN THE IIIRD』や、
『REDLINE』で全開になる鋭い感覚。
これが若さと粗さを残して、
ぎゅっと詰まっている。
◆ クセの強いキャラへの、演技と魅力 ◆
クセの強いキャラ設定と、
俳優陣の解像度の高い演技。
これが魅力の一端だ。
三木(永瀬正敏):主人公。
カナ(小林明美):三木の元カノ。
二人は「割と」標準的な人物の為、
紹介は割愛する。
・トドヒラ(岡田義徳):カナの婚約者
独特の話し方、センテンスの詰まり方。
早口で捲し立てる口調が、リアルに映る。
・ソノダ(堀部圭亮):三木のアニキ分
地方を感じさせる、語尾の訛り。
明瞭かつ、らしく際立たせるのがプロの技。
・イソムラ(我修院達也):組の若頭
強烈な動きのインパクトで全て持って行く。
出た瞬間やセリフの端々に、腹が捩れた!
・オキタ(浅野忠信):窃視症に苦しむ青年
変態的な感じを、動作ではなく、
空気感やオーラ、奥に秘めたムードで表現。
危うさを残す目線に、感嘆の息が漏れた!
・キャプテンバナナ(原田芳雄)
:のぞき部屋の主
珍妙極まる謎の怪人役がまさかのヒット。
ギャグとシリアスの狭間で、脳がシビれる!
訃報の折に「X」上で、キャプテンバナナの
別れを惜しむ声が多数あった事が、記憶に新しい。
他にも従業員や、坂上のオバちゃんなど。
少ししか出ない人物達の演技も、見逃せない。
本作の人物達は、会話の何気ない一言に、
向きになって突っかかって行く特徴がある。
それぞれが闇と爆弾を、心に抱えている。
その闇と爆弾が、最後にどう爆ぜるのか。
作品の大きな見どころである。
◆ 「語り口」の妙味 ◆
ファーストカットの三木のトイレから、
すでに珍妙な間と空気が、場を支配する。
旅行代理店の女店主と、彼のやりとり。
「いいでしょ?」「いい!」
それだけの言葉が、
それ以上の情報を感じる不思議さ。
やがてホテルの従業員の、
信じる、信じていないの話。
これが、しょーもないケンカに移る。
この「信じる・信じない」は、
別の場所でも接続される、重要な軸だ。
◇
メインとなる、ホテルの部屋。
そこを覗く事ができる、のぞき部屋。
この二重構造が、作品の肝でもある。
二つの部屋がどう収束するのか、
予断を許さない面白さ。
ホテルの部屋では緊迫した話になる中、
のぞき部屋では「のぞきベスト10」が
繰り広げられる妙味など。
二つの異常を眼で味わえる、
観客視点がたまらない。
◇
のぞき部屋で、
股の広げ方を伝え合う場面。
ここは、本当にくだらない。
内容が何もなさすぎる。
しかし、具体的な体勢の広げ方を熱演され、
間と間が織りなすバカバカしさに脳から煙。
それが二人の交流を生んでゆく展開も、
ギャグとシリアスが混合する面白さだ。
◇
「キャプテンバナナ」が「オキタ」に、
「変な目で見ているだろう」というセリフ。
自己と相手への洞察が見て取れ、
鋭い説得力を生んでいる名場面だ。
「思ってないです」
オキタがそう否定する中。
「じゃあどう思いましたか?!」
人物のいでたちと、俳優が語るトーンの中。
「オキタ」の長い沈黙が、極上の肉汁だ。
こういった、見えない部分をどう味わうか。
まるでドーナツの空洞を味わうような感覚だ。
◆ さいごに ◆
どちらかと言うと、
コントや舞台劇の感触に近い。
しかしオバちゃんの、
突然の早回し映像もあり。
アニメ的な動作・所作の演技。
洗練されたアニメパートの存在。
スリリングに決まる、音楽の白熱。
これらが映像でしか表現できない、
編集のリズムが拍を構成し、映画として決まる。
◇
クセ強キャラにかき回され。
物語は混乱と混沌が極まった中で、
二部屋がどう交わるか、交わらないのか。
その時感じた体の揺れは、
背筋の震えか、腹の捩れか、区別がつかない。
だけど、そんな事はどうでも良かった。
私の常識を揺らしてくれた事に、
ただ感激が募っていた。
今の目で見るとたしかに、
満足に足らない点も多いだろう。
でももし、この作品が無かったら──
私の「珍味系映画」の大半は、
きっと出会えていない気がする。
「股間をアツくする前に、
ハートを燃やすんだよ!」
──端役の精神科医(大杉 漣)
2025.12.10. ヒューマントラストシネマ渋谷
#ヒューマントラストシネマ渋谷
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みずきの感想・評価
2025/12/24 19:26
4.6
壮大な前フリ
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natachiの感想・評価
2025/12/24 19:26
5.0
ほんとのほんとのほんとのほんとに笑った
マジで面白かったどうしよう
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©東北新社/タキ コーポレーション/テレビ東京