フラハティ

グレイヴ・エンカウンターズのフラハティのレビュー・感想・評価

2.5
誰が観るんだ的なB級映画を配給するアルバトロス。
そんな彼ららしくないまともなホラー映画。


Pov方式の本作。
テレビ番組『グレイヴエンカウンターズ』のスタッフが、廃墟となった精神病院で霊を探す。
彼らが残した映像に映っていたものはあまりにも恐ろしいものだった…。
『パラノーマルアクティビティ』っぽいけど、こっちのほうが映画としては面白さがあった。


実際に本編が始まるのは40分後くらいからの感覚。笑
序盤のやりとりはなんだかだらだらしていたが、中盤以降の怖さを引き立たせるために必要なものだろう。

心霊番組ってやっぱりやらせとかあるんだろうか。
本作では金を渡して嘘の証言をさせたり、霊能者を役者に演じさせたり、視聴率のためにはなんでもやっていくスタンス。
でも怖いものを撮るための全力さは伝わってきたので、これがプロ根性というもの。

そんなこんなで廃墟にいる幽霊たちを挑発しまくるメンバーたち。
幽霊たちが本気を出せばこれくらい朝飯前。そう考えると怖い。
あと建物のなかに閉じ込められるのはなかなかいい。
簡単に入れたのに、簡単には出られない。ここにもちょっとした絶望ポイントがある。


ただPov方式をやるんだったら個人的には2点こだわりがあって、
1点目はPovにするなら、実際にありそうなリアルさを出してほしいこと。
『ブレアウィッチプロジェクト』はこの点がよかった。
本作は前半の怖がらせる部分はなかなかよかったが、後半は実際にはありそうにない雰囲気が出過ぎなのが惜しい。

2点目はテンポをよくしてほしいこと。『Rec』なんかはこの部分が上手くて、次々と起こり始めるから飽きさせないっていう良さがある。
リアルさを引き出すためには、スローテンポで日常と非日常の境目が無くなっていく、じわじわと怖がらせていく必要がある。
そのためテンポが悪くなってしまう。
じゃあいっそのことリアルさよりも、怖さ重視でテンポを良くしよう!って方向に舵を切ってくれるほうがいいように思う。
本作はスローテンポでじわじわ怖がらせるのに、後半はよくわからんモンスターが突然出てくるのが良さを潰しているようにも思える。

リアルさ重視かと思えばあり得なさそうな展開。
テンポもさほど良いとは言えない。
リアルで緊迫感のあるはずのPovの良さを前半と後半で打ち消しあってしまってる印象。
このどちらか1点に秀でたものがなかったのはPovとしての良さが活かせてないようには思えた。


恐怖で段々と精神を病んでいく様は、精神病院という伏線も込められている。ただもう少し掘り下げても面白かったんじゃないかな。ただの幽霊で終わらせるのはもったいない。

霊能者の役者のこと理不尽にはぶりすぎだろ笑
決めポーズで5人揃ってタイトルコールする姿が彼らの最後の勇姿。
「私たちはグレイヴエンカウンターズだ!!」
フラハティ

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