愛は容易に見つけられるものなのか。
ヨルゴス・ランティモスってイカれてるよなとか思っていたが、本作を観る限りそこまでイカれてはなかった。
パートナーを見つけなければ自分が望む動物になってしまうとい>>続きを読む
過去の語らい今に期す。
歌人としてデビューした寺山修司は1971年に『書を捨てよ町へ出よう』をひっさげ映画監督デビュー。
そしてATGで代表的な本作は、寺山修司が過去の思い出と対峙する。
ただ自分>>続きを読む
田中角栄を殺すために記す
冒頭から↑の表記が表れ、硬直した。
久しぶりにどストレートでやばい文言を観たからだ。
アナーキストの奥崎謙三というやばいやつが戦争中にあったある事件を追うため、過去の戦地>>続きを読む
秋が訪れる。
いずれ耐えがたき冬を迎えながら、雪解けを待つ。
僕らはいつも時が過ぎ去るのを待っている。
家族が皆集まって変わらぬ日常を過ごしている。
ずっとこのままでいられればいいのにと何度思った>>続きを読む
過去は変えられる。なぁ友よ。
フィッツジェラルドの名著『グレートギャツビー』の映画化。原作は未読。
過去にはギャツビーをR.レッドフォードが演じており、何度か映画化されている模様。どれだけアメリカ>>続きを読む
驟閣は燃えているか。
三島由紀夫の傑作『金閣寺』の映画化。本作では金閣寺という名称は使われず、驟閣寺(しゅうかくじ)として登場している。
1950年7月2日未明に現存する金閣寺が何者かにより放火、>>続きを読む
僕の心は燃え続ける。
既に決まった人生に生まれ、数多にも分かれる道で出会う。
忍び寄る燃え盛る情熱は、心の奥で叫び続けながら、私の人生を明るく照らしてくれることはない。
満たされない現実に。
戻れ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
私が作る最大の未来。
あなたがいる最大の幸福。
戦時下の東京。
母親を亡くした眞人。
田舎へと住む土地を移動し、父親は再婚する。母と似た女性だ。
庭を飛び回る青鷺は僕を歓迎しているのだろうか。
あ>>続きを読む
日に日に老いていく“私”と、何度も明けていく“オープニング・ナイト”…。
『こわれゆく女』に続き、ジーナ・ローランズの精神がこわれゆく状態の演技がエグい。
本作のテーマは“老い”および“演じるとい>>続きを読む
残らざるを得ないもの。選ぶことができないもの。
ジャ・ジャンクー出身の山川省汾陽(フェンヤン)を舞台に、4人の若者たちを描く。
毛沢東のもと理想へと走り続ける中国だが、走り出した中国を追い続けなが>>続きを読む
希望と確信をもって。
A.タルコフスキーの遺作となった『サクリファイス』は、敬愛するベルイマンのスタッフのもと、ベルイマンの祖国スウェーデンで撮影された。
内的な作品から段々と世界と繋がっていくタ>>続きを読む
実りの訪れを感じさせる食物は収穫の時期を迎える。
四季の物語ラストは秋。
ロメール自身も、四季の物語は秋で締めるということを決めていたといい、本作の主演二人もロメール映画の常連。
主人公は従来作品>>続きを読む
夏がそうさせた。
四季物語のなかで唯一の男主人公。
本作も偶然性の高さが伺える作品で、誰も彼もロメールらしさ溢れる夏の一コマだった。
『冬物語』ではあからさまな奇跡を呼んでいたが、本作はそこまでで>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
60'sは華やかなことばかりでなく。
子供の頃から観ていたホラー映画を参考にしたとのことで、60'sのロンドンと現代が入り交じる世界。
あぁ、ロンドンって怖いね。英国紳士は存在しないのか?
本当>>続きを読む
俺は存在しているか?夢!夢!夢!
あの坂を登ると突然違う世界に迷い混む。
ひとつも正しいものはないようで、すべてが正しいことを語っているのかもしれない。
生者と死者の境目は崩壊し、この世界はたった>>続きを読む
暗闇で鮮烈。復讐へ。修羅の道へと。
どこまでも先が暗闇で、抜け出すことができない…憐れ。
百両の金を巡り、入り乱れる愛、憎悪、情け、希望、悲しみ、無情、修羅。
長編に関しては寡作な松本俊夫であるが>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
厚い壁に覆われた孤独な空間で生き続ける日々の行き着く先は。
『私、あなた、彼、彼女』の粗削りさはいつの間にか圧倒的に洗練されていき、3時間超えの長尺がいつの間にか過ぎ去っていく。
未亡人の喜びのない生>>続きを読む
父親の愛情は深いが、相手に届かなければ意味はないのか。
次作はドキュメンタリーなので、実質的には本作が最後の作品と言ってもいいかもしれない。
娘に対する強い愛情を持つ父親。
アケルマンの過去作として>>続きを読む
自由を与えているつもりが、不安感から相手を信じきれない。
こちらから伝えたいことを伝えても、相手からは本心なのか全く伝わってこない。
配信されている本作より前の二作とは趣が異なり、いかにもなストーリ>>続きを読む
私は私であるし、あなたはあなたである。
やはり確信はアケルマンは空間のなかで私を見いだしているところなんだろう。
部屋を整理したことから、すべてを簡略化していく。この行為は断捨離であり、自分の存在を際>>続きを読む
どこまでも孤独なんだなと感じた瞬間すげぇ辛くなったけど、それはみんな同類で、誰もが分かり合おうとしたりするけど、一方的に語るだけであって誰もが自分のことしか考えていない、というか考えられないんだと強く>>続きを読む
資本主義社会は豚小屋同然。
共産主義者であったパゾリーニの思想がふんだんに詰め込まれた本作は、ゴダールの『中国女』でキャスティングされたレオとアンヌが登場。
本作ではカニバリズムと獣姦という変態性>>続きを読む
マオマオ♪
政治色溢れる本作だが、ジガ・ヴェルトフ集団期の意味不明さと比べると物語の様相は辛うじて存在している。
本作をメタ的に描くところの意味がよく分からず、ゴダールの思想であることを意識させよ>>続きを読む
寂しい。誰もが孤独である。
小津安二郎の遺作となった本作。
やはり結婚、孤独をコミカルに描く作風は本作も変わらなかったが、寂しさは従来作品よりも強く感じた。
本作は小津の最愛の母が亡くなったことも>>続きを読む
好きなものを通じて描かれるダークサイドと陽光。
さかなクンの半生を映画化した本作。
全体的にコメディさが溢れ、脚色も加えられているだろう本作は、観終わった後に心が温かくなる作品。
苦しさはあるが、>>続きを読む
【追悼2022.09.13:さらばゴダールよ】
ゴダールの追悼として本作を観たというわけではないが、なんか観たくなって本作鑑賞!
ゴダール初期の傑作。
低予算で適当?に作りながらもこのクオリティの>>続きを読む
『(わたしの心に)耳をすませば』
モヤモヤする心が夜明けを見るように清々しく。
坂を上り下りする様子は、青春時代の不安定さを表している。
まさにジブリは青春そのもの。
見果てぬ自己との対峙で何か>>続きを読む
死者が甦る...?
四季の物語二作目。
運命の相手に出会い、ちょっとした行き違いで別れてしまう。
それから五年経つも、彼女は運命の相手との再開を待ち続けている。
それはもう駄々広い宇宙に取り残され>>続きを読む
エリック・ロメールの四季の物語のスタートを切るのは本作、“春”である。
ロメール四季の物語一作目。
春の陽気の中織り成す恋愛劇。
回り回って結局振り出しに戻るのだが、確実に彼ら彼女らには変化が訪れ>>続きを読む
数多の人格として生きる男の人生。
カテリーナ・ゴルベワに捧ぐ。
初レオス・カラックス!
だが本作は初手としては失敗...。
レオス・カラックスによる、ドニ・ラヴァンのための映画といった印象。
他作>>続きを読む
自分の浅はかさを知る。
LGBTの授業が突然。何故...?
本作のカメラの近さから、まさにこのクラスに配置されたような印象を与えた。
実際自分がこの状況に置かれていたら?いや、知らない間にもうすで>>続きを読む
文無し男、街をさ迷う。
ロメールの長編処女作。
音楽家と言いながら遊び回っていた男が、遺産相続を受けることで勝ち組になる...!という話。
最初から行き当たりばったりな男だったが、結局のところ何>>続きを読む
シネメンのおかげでロメールの短編を観ることができるようになった。ありがとう。
短編なんであまり記すことはないが...。
本作は家庭教師と少年のやり取りを映し出した短編。
トリュフォーの映画にも出て>>続きを読む
雪原が赤く染まる。
パラジャーノフ初の長編作品。
絵画のごとき画造りと、観客誰もを驚愕させる演出には舌を巻く。
本作は学生時代からずっと観たかった作品のひとつ。
観ることがほぼ不可能だったため、伝>>続きを読む
4番目の男は一体誰?
P.ヴァーホーヴェンの初期作。
『グレートウォーリアーズ』から本格的にアメリカでの活動を始めたヴァーホーヴェンだが、本作はオランダでの作品であり、凝った作品。
『氷の微笑』の>>続きを読む
監督フー・ボーの死によって完全版として公開に至った本作。
フー・ボーはこの世界が地獄説を唱えていると思う。
どこへ行っても絶望しかなく、明るい世界を求めてもすぐ目の前は暗闇でしかない。
四人の登場>>続きを読む