えいがうるふ

プレシャスのえいがうるふのレビュー・感想・評価

プレシャス(2009年製作の映画)
2.9
何となくあんまり惹かれなかったのだが、キャストにマライアとレニクラの名前を見つけてどんな役かと観てみたものの・・・やはり自分の直感を信じれば良かったとやや後悔。

最底辺の家庭で育ってしまったまだ若い女子がなんとかその生活を脱して前向きに生きる道を見出す話、という想像通り過ぎる展開はともかく、ならば不遇のヒロインをもう少し応援したくなるキャラに描いてほしかった。時折挟まれる悲しいほど無邪気なプレシャスの夢想シーンは高校生ぐらいの子どもなら全然許せる幼さなのだが、とても年相応に見えない貫禄でふてぶてしく見えてしまう彼女がそのシーンを演じる様子は微笑ましくは見えない。金も教育もない貧困層ほど病的な肥満体になるアメリカという国の闇を露呈しているのは分かるが、なんかもうちょっと感情移入できる演出のしようがなかったかと思ってしまう。

あと、ここまでシンプルな帰結を描きたいだけなら、もっと話をコンパクトにした方がよかった。
マライアとレニクラは本業を匂わせもしない地味でヒューマンなキャラで出てきてこんなところで何やってんの状態。wikiによるとレニクラはこれが俳優デビュー作だったそうで、好きにキャリア展開できる実績があると人生後半で心置きなく迷走できていいわねえ・・と変なところに羨望を感じてしまった。
これでアカデミー受賞したプレシャスの母役を演じたモニークは確かに観てるほうが本気で胸糞になるビッチになりきっていて、クライマックスの独白シーンでは彼女が主役なのかと思うほどフューチャーされていた。そこだけ観ればたしかに凄まじい演技なのだが、あくまでもプレシャスの話だったはずなのに終盤に焦点がズレてしまい尻切れトンボな印象になってしまった。