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内なる傷痕のkuuのレビュー・感想・評価

内なる傷痕(1970年製作の映画)
4.0
『内なる傷痕』
原題La cicatrice interieure.
製作年1972年。上映時間60分。

今作品を説明するのは難しい。
安易に映画を作ったのはヒッピーやと書けば安易すぎる。
今作品には明確なストーリーはないのかもしれへん(小生は無知ゆえ読みとれんのやと思います)。
雄大な自然を前に、独り動くことよりも感情を表現する、古代演劇のような一人か二人の登場人物のショットの連続。
98%の熟考と2%の対話で、聞くよりも見ることに時間を費やし、登場人物が探索する設定に魅了されている。
エンタメ映画を主として見てる小生には、こないな感情現象は起こったことはあまりない。
設定は美しく、演出やカメラショットは、この素晴らしい。
自然回帰を目指すの者へこの作品に何かを望み再生した人を旅へ引き込む。
この旅てのは、この運動(自然回帰)に最も抵抗のある人でさえも、多くの人にアピールすることが出来てるんちゃうかな。
環境やそこで起こるほとんどsurreal(超現実的)な現象に支配されてしまう。
風景、また風景だらけ。
せや、ここで問題なんは、今作品はほとんどそれだけ。
風景、場景、光景と書き換えても、風景でしかない。
台詞が少なく、ニコ(歌い手)が無駄な文句を言っているのが気になる。
結局、何も起きてへんし、見るものがないときでも、出来事の遅さから、1時間がめちゃゆっくりと過ぎていく。
そのため、今作品は長さに負けてしまい、美しさが損なわれてる。
退屈やと云う言葉じゃないし、長い方がいい。
1時間は普通は短いのですが、ここでは違う。
それはそれで困る。
何気なく手に取ったがこないな作品に興味がない人は、その遅さが今作品を厳しく罰してしまう。
早回ししたり、飛ばしてしまう人や、うんざりする人もいるとは思います。しかし、今作品は沈思黙考する映画であり、それ以上のものではないのかもしれせん。
それは、監督が観てる側に提供する失われた世界についての彼のビジョンであり、良いシナリオを作るための配慮じゃないんやろな。
セットはとても素晴らしいものでした。
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