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鰐 ワニの一のレビュー・感想・評価

鰐 ワニ(1996年製作の映画)
3.6
鬼才の原点ここにあり
キム・ギドク監督デビュー作

漢江の橋の下に住む“ワニ”と呼ばれる粗暴な浮浪者の男が、自殺未遂した女との生活で心に変化が訪れる

デビュー作にはその監督の全てが詰まっていると言いますが、まさにそれ
容赦のない性と暴力を、これでもかと見せつける作品を一貫して撮り続ける男の基盤が、この時から既に完成されつつある

漢江と聞けば、ポン・ジュノの『グエムル』を真っ先に思い浮かべますが、投身自殺者の遺品を盗み出す極悪非道な男が住み着くくらいなので、それよりも全然汚い

凶暴な男と絶望した女、最初は強引なセックスだけの関係だったが、ふとしたきっかけで徐々に心が通じ合う
これこそがギドク作品のたまらない瞬間である

『悪い男』でもチョ・ジェヒョンの無言の圧からの演技が凄まじかったが、やはり本作も素晴らしい

多くは言えませんが、ポスターにある水中のシーンは、ギドクらしからぬ美しさで思わずうっとりしてしまった
これまたギドクのファンなら必修の一本です

カメラのせいなのかDVDのせいなのかはわからないけど、さすがに粗すぎる画質はちょっと残念

[Rotten Tomatoes 🍅※100% 🍿67%]
[IMDb 6.6 / Metascore - / Letterboxd 3.1]

2020 自宅鑑賞 No.426 GEO
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