真鍋新一

歓呼の町の真鍋新一のレビュー・感想・評価

歓呼の町(1944年製作の映画)
3.8
物語としてドラマティックに描かれている分を差し引くにせよ、戦時下の暮らしとはこんなものだったのだろうか、という気にさせられる。

「疎開事務所」というのがあって、田舎に住むあてのない人が相談に行くと、疎開先を紹介してくれるらしい。いつまでも疎開せず都市部に住んでいてもいいようなものだが、「早く出ていけ」というお上からの無言の圧力が、空気感としてハッキリ描かれている。そういうことも、この映画を見るまで知らなかった。

カメラの引き方、クロースアップの使い方。ほんの些細な仕草、言葉の端々で変わっていく人物の感情。まことに細やか、まことに繊細。
真鍋新一

真鍋新一