疾風のエディこと
エディ・フェルソン
そして無敗の男
ミネソタ・ファッツ
ビリヤード🎱のプールに
全てを掛ける男たち
そして愛に生きるしかない女
「ハスラー」
「シンシナティ・キッド」「麻雀放浪記」そして「ハスラー」。私の中ではこの作品たちが三大ギャンブラー映画です。ポーカー、麻雀、ビリヤードとゲームは違いますが、勝負師たちのそのひりつく様な緊張感と人生の全てを擲つ破滅的かつ刹那的な生き方に憧れてしまうのは、私が男だからでしょうか。
売り出し中の名うてのハスラー、エディ(ポール・ニューマン)は最強の男、ミネソタ・ファッツ(ジャッキー・グリースン)に挑戦する。戦いを有利に展開するエディだったが、勝利を確信し、酒に酔い、戦いを見ていたゴードン(ジョージ・C・スコット)の「お前は落伍者だ」の挑発により、ファッツに持久戦に引きずり込まれ、敗北する。敗北に傷ついた彼は、相棒と別れ、行きずりの女、サラ(パイパー・ローリー)に拾われる…。
軽快な音楽に乗り、ビリヤードと止絵で描かれるオープニングが洒落ているんですよね。そして幕を開けるミネソタ・ファッツとの死闘…。その白と黒のキツいコントラストのモノクロ画面がそのカッコ良さを際立たせます。また魅力的なキャラクターに彩られた作品でもあります。
才能はある、だが若く人格に劣る、ハスラーエディを演じるは、若きポール・ニューマン。デカい口を叩き、その才能の勢いに任せ、突き進む青二才が向かう、破滅的な運命を見事に演じます。キューを握る姿がもうカッコ良すぎて美しいレベルです。これまでビリヤードをした事がないと読み驚きました(^^)
勝負師とは全てを擲ち、勝利のみを追い求めるもの。そして、その側に立つ女性とは…。麻雀放浪記ではドサ健の情婦の大竹しのぶがそれを演じましたが、こちらのヒロイン、パイパー・ローリーも悲しき女性を好演しています。
勝負師を再び修羅の道に誘う死神役としてギャンブラーのゴードンを演じたジョージ・C・スコットが今回見た際には最も私には魅力的でした。そのギャンブラーとしてのドライさ、彼のセリフには惹きつけられるものがありますね。お前は落伍者だ。勝利の責任の重圧から、言い訳をして逃げた…。それがお前の敗因だと。
そしてジャッキー・グリースン演じるミネソタ・ファッツの格を感じるキャラクターと演技。最強の敵に相応しい存在感。人としての格を感じさせる名演です。因みに彼自身はビリヤードはそれなりの腕前だったそうです(^^)
その刹那的、破滅的な生き方は若者の姿そのものであり、ラストには悲劇が待つのですが、この時代故の救いがあります。その救いは犠牲の上に成り立つのですが、修羅の道から抜け出すことが果たして救いかは…わかりませんが…、ある意味救いや甘さとしても取れます。麻雀放浪記の「死んだやつは負けさ」や、シンシナティ・キッドのマックイーンの姿に比べれば、遥かに救い、甘さがある様に感じます。今作が一番早く作られているから、古い年代故だからとは思います。
ただ…それ故、ビリヤードブームを復活させた、あの作品に続く訳です(^^) それに関してはもう最高としか言えませんね(^^)