円柱野郎

男はつらいよ 柴又慕情の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

男はつらいよ 柴又慕情(1972年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

フーテンの寅さんが巻き起こす騒動を描いた人情喜劇シリーズの第9弾。

金沢で出会った女性旅行客と打ち解け、柴又に戻って再会してからその一人に恋してしまった寅次郎。
ワンパターン…いや様式美と化した展開が安心感につながっているのだと思うけど、今作は前作「寅次郎恋歌」の様な身内の話ではなくて、寅次郎の恋の話に終始しているので、よりその傾向が強いか。
歌子(吉永小百合)に惚れられてるかも、という早とちりから照れたりカチコチになる寅さんはお約束だけど面白いね。

おいちゃん役は松村達雄に交代。
キャラクター的には森川信のおいちゃん像を継承しているけど、「バカだねえ」のセリフもやっぱり先代と比べるとなんか違うわなあ。
台詞の裏にある愛情というか。
まあこれは観る側の慣れもあるんだろうし、仕方がないか。
それでも、とらやの面々との掛け合いは楽しい。

結局惚れられていたと思っていたのは寅さんの勘違いで、歌子は恋人と結婚するわけだけど。
「寅さんがいたから、さくらと結婚したんだ」という博の言葉でもないが、歌子の決意のきっかけになったのは事実。
そういう、人と人の縁を(図らずも)繋いでいく寅さんというキャラクターは、そばにいれば面倒くさいが、実に良い人だなあと思う話なのです。
円柱野郎

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