踊る猫

マイ・マザーの踊る猫のレビュー・感想・評価

マイ・マザー(2009年製作の映画)
3.3
エモい映画だな、と思った。ストーリーテリングの妙から言えば洗練された映画ではない。むしろド下手で愚直であるとさえ言える。だが、ゲイの子どもとその母親の愛憎が複雑に絡まった関係を描くことには成功している。監督が技芸を捨てて強調したかったのはそうしたエモい関係の重要性だったのだろう。点数としては(こちらの期待値が高過ぎたからかもしれないが)どうしても低くなってしまう。だが、観る価値のない映画だとは思わない。むしろこんな映画を撮ってしまうグザヴィエ・ドランという男の「業」がどんなものなのか、他の映画を観て確認したいとまで思ってしまった。二箇所、クラブの場面とジャクソン・ポロックを真似た絵画を描く場面での音楽の使い方が見事。もう少しそうした色気というかケレン味があっても良かったのではないかと惜しまれる。どうしても撮られねばならない映画、失敗作(駄作ではない)として受け留めた。
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