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海峡のtjZeroのレビュー・感想・評価

海峡(1982年製作の映画)
4.0
青函トンネルの開通に尽力した国鉄職員の半生を描く。

地道な地質調査から、実際の工事まで…30年近くかかった大プロジェクトをとても丁寧に、わかり易く描いている。

140分強という上映時間は長めだが、題材のスケールからすると納得の分量で、むしろ短く感じるくらい手際良い描き方。

所長の高倉健と頭領の森繁久彌が指揮し、小林稔侍や三浦友和、阿藤快らが掘り進むという豪華な顔ぶれ…デラックス版の『プロジェクトX』てな趣き。大事故のシーンも、特撮やミニチュア感は無く、実物大のセットを組んだと思われ、迫力満点。

土木要素満載、男臭い内容の中、ヒロインの吉永小百合サンの美しさが(掃き溜めの鶴みたいに)輝く。
少女から女ざかりまでを演ずるんだけど、かわいさからあでやかさまで、ありえない位のきらめき。北の大地に咲く雪割草もかくや…必見です。

彼女が営む居酒屋で、トンネル完成まで酒を断っていた健さんが、十数年ぶりの熱燗を飲むシーンに胸打たれる。
寒い所であったかいものを健さんが口にすると、なんであんなにおいしそうなんでしょう(笑)。

《追記》青函トンネル完成からほぼ30年、いよいよ来年(2016)に北海道新幹線が開通。この時期に観ると余計に感慨深い作品でした。
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