すずき

アリスのすずきのレビュー・感想・評価

アリス(1988年製作の映画)
3.4
幼い少女アリスはある日、家の剥製のウサギが逃げ出すのを見る。
驚いたアリスは、ウサギを追いかけ、不思議の国へと迷い込む…

ご存知、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」を、チェコのシュルレアリスト、ヤン・シュヴァンクマイエルが実写映像化。
役者は主人公のみで、あとは人形のストップモーションアニメの手法で撮られている。

普通「アリス」の映像化、と聞くと、ディズニーのような色彩がカラフルで、可愛くて明るく楽しい雰囲気を想像する。
しかし、ヤン監督は違った。
彼はこの物語を「可愛い」の前に「キモ」が付くような、グロテスクなイメージで解釈した。
色彩は暗く、BGMは一切無い。
子供向け、というには尖り過ぎてる芸術作品。
例えるなら、ディズニーはスーパーファミコン版、ヤン監督はメガドライブ版だ!(伝わるかなぁ?)
原作の描写をそのまま映像化するんじゃなくて、自らの解釈で映像化、ルイス・キャロルにクリエイターとして挑戦状を叩きつけてる映画だ。

屋外のシーンはほとんど無くて、ほぼ屋内で話は進行する。
それも、色褪せて埃っぽい室内ばかり。
そして画面に現れる小道具は、どれもアンティーク古道具のような薄汚れたものだ。
しかしそーゆーのって、ジャパニーズで言う所の「ワビ&サビ」って奴?それを感じた。
あとアリスはロリータファッションだけど、世界観的にはゴシックロリヰタっぽい。
そんなグロテスクかつアンティークな世界観が気になる人にはオススメ。娯楽性は少ないので注意。