むさじー

ペーパー・ムーンのむさじーのネタバレレビュー・内容・結末

ペーパー・ムーン(1973年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

<詐欺師の男と、娘(?)の心温まる珍道中>

1973年制作なのにモノクロ映画なのは、時代の雰囲気を出すためだという。
ストーリーも映像も一級品だが、何と言ってもテイタム・オニールの演技(と言うより魅力)で輝いている映画。仏頂面をして憎まれ口をたたいても可愛い。
ラスト、丘の向こうから大きな鞄を携え走って来る姿は感動的な健気さだった。
モーゼに近づく女を罠に掛け、浮気したかのように見せかけて、モーゼの気持ちを引き離すという作戦が見事に成功する。
その後のモーゼいわく「大人になっても男を騙すような女になるなよ」アディは「うん」。
詐欺師から「騙すな」と言われ、騙した娘が「うん」と答える。絶妙な会話だった。
結局、親子関係の真実は分からないが、だんだんと「かけがえのない二人」になっていく、その様が微笑ましいし、それを実の親子が演じているからなおさら可笑しい。
感動的な親子ものなのだが、大げさに涙を誘うような演出はなく、押しつけがましさも感じることなく、全体的に乾いた(湿っぽさのない)映画という印象。
観終わった後の心地良さは格別である。
むさじー

むさじー