おらんだ

イキガミのおらんだのレビュー・感想・評価

イキガミ(2008年製作の映画)
3.8
「明日死ぬとしたら何をする?」

「国家繁栄維持法」の下に、1000人に1人の確率で18〜24歳の間に死を迎える可能性のある世界。死亡予定者には死の24時間前に通告書が届けられ、最後の生き方を選ぶ事ができる。公務員、藤本は死亡予告書(通称:イキガミ)を配達する業務に就いていた。

「明日死ぬとしたら何する?」というありふれた質問を真面目に考え、一つの作品に。複数人のエピソードがオムニバスで進行するのだが、死の直前の行動が様々。最後に美しく最後を飾ろうとする者、復讐を遂行する者など十人十色。後味の悪い話も有り、綺麗事だけではない所が良い。

生前の行いに関わらず平等に死が訪れる所も良い。引き篭りにも、夢を追う青年にも「死」は平等に訪れる。それだけに「生」の部分の違いにスポットライトが当たり、最期に見せる行動の差異が浮き彫りになる。

劇中歌の「みちしるべ」がいい歌。状況も相まって金井勇太がすごくカッコいい。マッドな殺人鬼か、ボーッとした役しか印象になかったけど、自分の中でのこの人の印象が大きく変わった。

「国家繁栄維持法」の善悪については、最後に藤本が少し問いかけるだけで作中であまり語られる事は無い。原作ではどのような意図で施行されるに至ったかや、生命の価値など掘り下げられているので、もう少しそこに焦点を当てても良かったかもしれない。続編有りそうな終わり方したけど、今更無いよなぁ。
おらんだ

おらんだ