おらんだ

百円の恋のおらんだのレビュー・感想・評価

百円の恋(2014年製作の映画)
4.1
32歳の一子は仕事もせず、実家で自堕落な毎日を過ごしていたが、実家を追い出され、近くの百円ショップでアルバイトを始める。ある日、近くのジムのボクサー・狩野が店に来るが買った商品を忘れていく。ジムまで商品を届けに行った一子は、狩野からデートに誘われる。

痛い。痛い痛い。痛々しさが全面に押し出されて、観ていて心に妙な鈍痛を感じる。張り合いのない人生。無気力な日々。辟易しているのに変化を望まない自分。そういった負の部分に、少なからず共感を覚えてしまう為、自己嫌悪を覚えてしまう前半。

だからこそ後半からの活気、バイタリティには熱くなる。張り合い、可能性を見つける事のできた人間の活力がひしひしと伝わってきて心を突き動かされる。「自分も何かしたい」という衝動が沸き起こる。

見所は全編を通して安藤サクラ。序盤の色気の無いだらしない肉体。スエットから透けて見える下着。バイト先で帽子かぶった時の頭。死んだ魚の眼。これが後半になるにつれて洗練され、美しくなってくる。引き締まってくる。動きも顔つきも別人の様に変化する。
この劇的ビフォーアフターだけでも一見の価値アリです。
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