レオピン

狂熱の季節のレオピンのレビュー・感想・評価

狂熱の季節(1960年製作の映画)
4.0
なんだなんだあのカメラは
韓国映画『悪女/AKUJO』でも車載カメラのアクションにぶっ飛んだが、同じ創意工夫が感じられる。撮影の間宮義雄という名は忘れないでおこう。

新進気鋭の前衛芸術家(松本)と新聞記者(長門)のカップル。当代意識高い系のあの吐きそうな組み合わせがビート族の若者にひれ伏す。川地の空っぽの前に打ち負かされる・・・

ジャズバーにまで侵入してきた青木さやか似の独善的な女はまくし立てる。お前の話はつまらんと大滝秀治のように一喝したくなる 黙れ!

川地の悪魔的な面構えがまさにヌーベルバーグ。彼を知ったのは『仁義なき戦い』だったが、他の俳優とは違う系統の顔に惹かれた。あの口元と目つき。異相といっていい。日活の役者では信欣三もそう、子供には好かれるか怖がられるかのどちらかだろう。。

好きな場面
雨の中傘もささずにズブ濡れのまま美術館に入りパンフレットで頭を拭いてクシャクシャにして投げ捨てる
勝と二人で朝飯をかけこんでいるところへユキの妊娠報告。産めと言う勝に明はニヤリと笑顔を浮かべ部屋を出ていく
そしてOPのネリカンからの出所カット

黒んぼのジャズ聴かねえとイライラすんだよ

彼の昂るドーパミンA10神経を抑えるたった一つのもの。それを邪魔されたら烈火のごとく怒る。それだけの理由で人を殺めることもいとわない。
怒り心頭の明を諫めたのが黒人兵のギル ヘイ イイキニナッター?w
燃え盛った怒りを鎮め一緒に海で泳ぐシーンもまた味わいがある。このチコ・ローランドとのコンビは4年後の『黒い太陽』につながる。
(この人那智グロ飴のCMに出ていたのか へぇー ナチグロといえば「ヘイ ゴング」でおなじみの落ちこぼれ超人ナチグロンやね・・・)

日活映画ではじめて見た「THE END」。仏映画の1本と言われても全く違和感がない。言葉の意味は分からんが、初期衝動とでも呼ぶべきものに満ち満ちたとにかくすごい映画ぜよ。
レオピン

レオピン