レオピン

デルタ・フォースのレオピンのレビュー・感想・評価

デルタ・フォース(1985年製作の映画)
3.3
調子に乗った米帝のノリノリが鼻につくはずなのに、あのさわやか清涼感あふれるサウンドのせいでだまされる。やっぱりデルタフォースといえばアラン・シルベストリのこの曲。

子供の時以来で何十年かぶりに観た。夜の空港で突入して解放されたとばかり思いこんでいたが、途中で風呂に入ってしまったんだろうな。中盤のカーチェイスなんかまったく初めて。ラストで黒装束集団が笑顔一つ見せずに去っていく所などまさに「忍」のもの。

前半の脚本は実際に起きたトランス・ワールド航空847便テロ事件をなぞっていた。だが全てはノリスの大あばれまでの下準備。改造バイクをかっ飛ばし特殊車両が火を吹くまでの事件再現フィルムだな。

国防長官にロバート・ヴォーン 神父にジョージ・ケネディ 乗客夫婦のマーティン・バルサムとシェリー・ウィンタース 脇役陣が豪華

美しいCAはドイツ女優ハンナ・シグラ 今に至るドイツの揺るがぬイスラエル支持を見せるためだけのキャスティングか いい子ちゃんめ
最も意外だったのはあのテロリストのリーダー、アブドルがロバート・フォスターだった! パム・グリアならぬノリスの突撃訪問に降参。

以前深夜に西部警察の爆破シーン集を見てゲラゲラ笑ってたことがあったが、同じ快感成分がつまっている。石原プロ+舘ひろし+なにか ⇒ キャノンフィルム 
だがさすがに笑ってばかりいられない面も。アラブ側はただの烏合の衆のマヌケ集団としてのみ描かれる。こういうことばっかやってるから嫌われる。ナメすぎ。彼らが言ってたいつかは9 ・11でホントに訪れた。この80年代のノーテンキさが懐かしくもあり、疚しさもあり、ビミョーな気分にさせられる。

今また、積もりに積もった憤懣が10・7という形で爆発してしまった。目下救出か交渉かを巡ってゆれ動いている。イスラエルのデルタフォースにあたる「サイェレット・マトカル」は現在進行形で任務遂行中か。
映画つながりではメナヘム・ゴーラン監督作にもある『サンダーボルト救出作戦』。この作戦で指揮を執り命を落としたイスラエルの英雄ヨナタン・ネタニヤフ大佐。その弟が今のベンヤミン・ネタニヤフなのだからそら一筋縄ではいかない。推移を見守るしかない。少佐は来てくれない。 

⇒とか言っていたら実際に人質救出作戦が行われていた。60代70代の男性2人を救出。代わりにパレスチナ人の死者は100人以上。
いよいよラファへの総攻撃は目前。事態は最終局面に。エジプト側も渋々収容施設を建設し始めている。ガザが既に天井のない牢獄なのに、また更に牢獄に押し込もうという、極悪非道の展開。
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