レオピン

いつでも夢をのレオピンのレビュー・感想・評価

いつでも夢を(1963年製作の映画)
3.4
押し寄せる不幸の波 夜学に通う勤労学生 親父は蒸発 級友は結核に倒れ 自身も就職差別にあい ただ一人明るい看護婦見習いだけが希望、その名もピカちゃんw だが彼女だってみなし児だった

河原のゴルフ場から幕が上がる。まだ途上国の景色の昭和37年ニッポン。河川敷ゴルフというのがもうね 貧しいわ
人並みへのあこがれ、普通へのこだわり。貧しいからこそ平均ということに捉われる。

時代が違えばなんてよく言うが、人間生まれた時代がほんのわずか違っただけで大きく違うのは当たり前。んなこと言ったらすべてはガチャ 恨んでみてもはじまらない。

みんな黙ってたって普通にやってりゃそこそこのポジションへ辿り着けた。砂粒みたいにアトム化し何もかも散り散りで団結なんてしようがない今の方がある意味キツい。こういう映画ができただけでもめっけものじゃないの。深刻ぶらないで 肩の力を抜いてさ なんくるないさー

いなせで陽気な橋幸夫だけがスター然として、彼の周りには不幸など寄せつけない。
たった一度就職試験に落ち、学業を捨て職工に戻ろうとする浜田を張り飛ばす。肉体しか使ってこなかった彼だからこそ学びの大切さが分かっていた。ここに『グッド・ウィル・ハンティング』のベン・アフレックのような男気を感じた。いや言い過ぎた。でもいい声してたな〜

相棒の金さんの野呂圭介も落第生の気持ちを語る。この人ちょっとトータルテンボスっぽいな しのびねえ🧑‍🦱
弟の和平の市川好郎も。彼だけが極貧家庭の中でユーモアを忘れない。一々ダメ親父と気が合う。あとは貧乏でマジメ あー やだやだ

町の至るところ煙突からモクモク黒煙が出ており、上京した母は東京の交通戦争に目をまわす。川にはヘドロ。既に公害が押し寄せていた。そんな中ひかるは、あー ここは匂いのする町だわと ウソつけ!
匂いは匂いでもプロパガンダ臭がする。キューポラもそうだが、この時代デモクラシーを平等、そして進歩という面に重きをおいて理解していた。これが貧しさ補正。

興行の人たちにはそんなこと関係ない。裕次郎が出てくるような上流子弟の映画と下町ド貧困モノ。日活映画のこの落差。手の届かない世界か、もしくはより下の世界か。庶民に夢を売るってそういうことか えげつな。 

浜田光夫の家なんかもう傾いちゃって、襖も汚れているし、大体学生服しか着るものがない。彼の名前は勝利、終戦間際の生まれか。あのうちには三種の神器すらまだそろってないのではないか。

アキラ兄貴が言ってたように、吉永小百合は顔がパンパンで色気ゼロ 松原智恵子はサイボーグ 小百合さんがずっとスターであられるのは、同時代の共有感覚なんだろうな きっと。
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