otomisan

ガールハントのotomisanのレビュー・感想・評価

ガールハント(1961年製作の映画)
4.1
 1961年、アイクが政権を去り際、軍産複合体への警告をのこしたその頃、欧州の魔都ベネチアでは軍賭複合体が生まれつつあった...
 なんて、ありそな無さそな。メーカー百花繚乱、この時分になると何となくながら具体的に電子計算機ならなんでもできるんでないかと想像を膨らますようになっていたんだろうか、みんな。
 で、博徒なら次に出る目はなんぞというわけで。軍人は博徒揃いで、乗艦にはMAXな計算機が居って、開発者とはツーカーで、お互いお金が欲しいとなりゃあこんな具合になるだろうというわけで、乗り掛かった舟ならぬ同舟の誼である。こいつが囚に化けなけりゃあ。
 思えば、WWⅡで有り余った舟が冷戦のせいで最新の電子装備で再就役。密室の機密の装備がまだ実戦配備途上で使い放題な時代。「そんなこと尋ねてはいかんねぇ」一言でシャットアウトできる状況なら使わにゃ損々であろう。対する取締側はピッグス湾の体たらくだろ、知恵と度胸で負けっこない。と思ったか、ベネチアはカジノの賭博で海軍相手の大博奕。
 この年、実は世間ではキューバ騒ぎで大ごとなわけだが、まことに呑気なもんで前年にはハリウッド海軍はペティコート作戦で大勝を納めてたりで、ミサイルより笑いで一笑なら、今年は弾道計算より次の目予測の方で勝てると踏んだようだ。結果は意外な格好のノーゲームにもつれ込むがまあ一笑一笑。遂にはソヴィエト連邦まで巻き込んでチップを巡っての代理戦争のどさくさに火元の海軍が尻に帆掛けて退却とは2年続けてどんな恨みがあるやら。
 本件の戦果としてはイタリア国庫の安堵の外、マックイーン大尉と提督令嬢、他一組の結婚成立と国務省の敗退に対して、ソ連在ベネチア領事館付きKGBに敵失を食らわせてアメリカの勝利と言った塩梅だが、近々起こる核戦争の危機に向け映画で笑って死ねる者が一人でも多ければ笑った者勝ちとでも云うところか。みんな危機を乗り越えられたら大尉、CIAのスカウトがあるだろう。提督もこんな鉄火場息子を配下に置きたくあるまいし、ニセ暗号に人心収攬、KGBから一勝をおまけにして精々いいオフィサーになられませ。
otomisan

otomisan