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八日目の蝉のtjZeroのレビュー・感想・評価

八日目の蝉(2011年製作の映画)
3.9
女と子ども、の物語である。大人の男も何人か出てくるが、いずれも影が薄い。戦争映画における女性のような扱い。
それはおそらく、子育てが女性にとっての戦場のようなモノだからなのではないか。子を産み、慈しむことは、兵士が戦場で勲章を得る名誉に匹敵するのかも。
だからこそ、そうした”勲章”を得る機会すら奪われた、本作の誘拐犯の哀しみが胸に迫る。
彼女が犯した罪は全くひどいモノだが、ただの悪人として断罪することは出来ないやりきれなさが尾を引く。
短い間だったが、彼女が幼女に注いだ愛情は実の親に匹敵する位ホンモノだった。彼女は空っぽの存在(がらんどう)ではなかった…という事が証明されて、残された者にしっかりと伝わったという終幕に救われた思い。
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