滝和也

レジェンド・オブ・フィスト/怒りの鉄拳の滝和也のレビュー・感想・評価

3.7
魔都上海に木霊する
怪鳥音!怒りのヌンチャク
が悪を討つ!

ドニー・イェンのブルース・リーへの限りなき愛と情熱が迸る!

「レジェンド・オブ・フィスト怒りの鉄拳」

第一次世界大戦、連合軍に従軍した中国兵、陳真(チェン・ジェン)は戦死したティエ・ユエンの名を借り、今や列強として大陸併合の野望に燃える日本軍に対し、抵抗を開始する。租界が置かれた魔都上海で仮面の男となり、暗殺に怯える中国人を守り戦うが、戦乱の炎は、更に高まるばかりであった…。

ブルース・リーのドラゴン怒りの鉄拳のリメイクであり、続編。その格闘スタイル、武器、装束と正にドラゴンであり、台詞「中国人はアジアの病人ではない」までオマージュされています。またリーが活躍した米国作品グリーン・ホーネットでの衣装を身に着け、敵を倒すシーンも多く、ドニー師父が如何に彼の作品が好きだったか、深い愛を感じます。

またドニー師父がアクション演出を行い、より現代的なアクションを盛り込んでいる点も見逃せません。オープニングの大戦シーンではガトリングガンの火戦をダッシュで掻い潜り、更に見事なナイフ捌きを見せますし(そんなに刺さんでも良いだろとは思いますが(笑))、中盤では、EXILEアキラ率いる暗殺団に

フランケンシュタイナー炸裂!

そう、ウラカン・ラナにも見えますが、頭を両足で引っ掛け、回転して敵頭部を地面に叩きつけて、組付す、現代的なプロレス技が炸裂!開発者であるスタイナーブラザースのスコットもびっくりの美しさです(笑)

第二次世界大戦前夜のお話ですので、反日的な作品である点は致し方ないですね。青島を中心とした遼東半島を租借し、満州は開国寸前、更に中国東北部では既に開戦。インディ・ジョーンズでのナチスの役割ですからね。その時代の上海の雰囲気は、舞台となる店、カサブランカや街のセットが上手く出来ており伝わってきます。

ただ…敵を演ずる力石大佐や、EXILEアキラが弱いんですね。役としても、実力でも。ドニー師父に比するものではない…。折角和製ドラゴンこと、闘えドラゴンの倉田保昭さんが出てるのに勿体無い。もう動けないのかな…。力石大佐の父役で少ししか出ないんだよな〜。本来彼が敵で良いんだけど。

また女スパイ役キキの役名が山口だったり、最後出てくる名前が川島だったり、実在のアジアのマタハリと呼ばれた李香蘭、川島芳子嬢へのオマージュは中々唸らせて頂きました。

脇を固める中にイップ・マンがもう一人。(イップ・マンの老齢したさくひんで主演)アンソニー・ウォン御大が芝居を締めています。渋みのある大老的な存在が良いですね(^^)

ドニー師父のヌンチャク捌き、リー的な見栄の切り方など、ブルース・リー愛が炸裂するドニー無双な作品です。あくまでアクション作品として割り切って楽しんで欲しいですね。
滝和也

滝和也