アニマル泉

俺たちの血が許さないのアニマル泉のレビュー・感想・評価

俺たちの血が許さない(1964年製作の映画)
4.8
小林旭と高橋英樹が兄弟の清順作品。清順らしい「高低差」の作品で「斜面」や「坂」が魅力的だ。
ラストの壮絶な撃ち合いは斜面を走り回る高低差の銃撃戦になる。浅利良太(小林旭)が血だらけで穴に逆さまに滑り落ちるのは鮮烈だ。
冒頭から雨。清順の得意な主題だ。タイトルバックの「血」の文字が赤く染まる。本作も清順の「赤」が頻出する。もちろん究極の赤は「血」だ。出だしから清順独特のジャンプカットが素晴らしい。どうしたらこんな編集を考えつくのか?もはや至芸である。そして大胆な省略。慎二(高橋英樹)とミエ(長谷百合)の船上でのいきなりのキス、ヤス子(松原智恵子)の唐突な死、清順の世界は全く予想がつかないのだ。突然ミエが拳銃を発砲する!幻想かと思いきや、実際に母ハツ(細川ちか子)が階段で運ぶグラスが砕け散る。ハツは驚くことなく片付ける。不気味すぎる。
清順は「区切る」「シャッターする」のも主題だ。本作も、衝立、障子、カーテンの使い方が面白い。
映写機、スクリーンも清順印だ。本作では良太の尾行、ヤス子の暗殺が暴かれる。
窓枠や破れた障子ごしのフレームショットやアングルショットも冴えている。
海の大波を窓枠に合成した良太と慎二の車の場面は荒唐無稽だが官能的である。
小林旭が途中から出演が決まったらしい。タイトルトップも小林旭が1枚だ。高橋英樹と主人公がどちらつかずになってしまった。
カラーシネスコ。
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