撲殺

劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっの撲殺のネタバレレビュー・内容・結末

1.2

このレビューはネタバレを含みます

神聖かまってちゃんというバンドのファンになって6年。そんな私にとって今回10年振りにリバイバル上映が決定したこの作品は見逃せないものだった。私はまだ若々しいメンバーがスクリーンを所狭しと暴れ回るのを期待していた。

しかし、その期待は綺麗に裏切られた。

作品は1週間後に迫る神聖かまってちゃんのライブに向けて3つのストーリーが同時進行していくというものだ。そのストーリーとは
①将棋のプロ棋士を目指しアマチュア名人戦の決勝に臨む女子高生

②清掃のバイトとポールダンサーの収入で息子を養うシングルマザーと保育園にパソコンを持ち込んで神聖かまってちゃんを布教する息子(5歳)

③レーベルから神聖かまってちゃんの路線変更を迫られる彼らのマネージャー

の3本だ。このうち③に関しては前2つと比較して特に違和感を感じなかったため割愛させていただく。問題は①、②だ。

まず①。女子高生を演じるのは今をときめく二階堂ふみ。彼女は高校3年生ながら大学進学をせずプロ棋士になるという選択をするが、それに反対する両親と衝突する。将棋を知らない彼氏からは無神経な言葉をかけられる彼女の居場所は将棋道場のみ。そんな時、彼氏から勧められた神聖かまってちゃんのCDが彼女に力を与える というストーリーだ。

まずおかしいのが、将棋の世界(以下:棋界)ではアマチュアの大会で優勝=プロ昇格ではないということだ。棋界(女流の場合)ではまずプロ棋士に弟子入りし、研修会という場所で一定の戦績を挙げた者がプロ棋士になれる。

劇中で二階堂ふみはプロだプロだと騒ぐのだが、果たして彼女は研修会に入会しているのだろうか?それが疑問である。将棋を少し知っている身としてはその辺の描写に納得がいかなかった。ちゃんとしてくれ。

また家族が反対するのも個人的にはどうかと思う。もちろん、研修会に入会しながらもしくはプロと大学を両立することは可能だと考える(現に両立している女流棋士がいるため)。また、棋士のお給料は思ったより高いのではないか。
棋士は対局すればするほどお金が貰えるため弱い棋士はそれほど儲からない。しかし対局以外にも読み上げ、聞き手などの仕事はあるのではないか?と思う。おそらく自立できるぐらいのお金は稼げるのではないのだろうか…アマチュア棋戦でトップに立てる実力者を娘に持つなら親はそこら辺は調べてるだろう。なぜ反対するのか納得のいく描写がなかったことに憮然とした。

続いて②。多忙なシングルマザーの息子は保育園にパソコンを持ち込み神聖かまってちゃんの歌を周りに布教する。それが周りの親の反感を買ってしまい…という話だ。

まず保育園にパソコンを持ち込むなよ。そこからまずおかしい。しかも神聖かまってちゃんは「死」などのネガティブワードが歌詞に入ることがある。そして途中で布教された園児たちが「芋虫さん」という曲を合唱するのだが、この曲も死にたい消えたいのオンパレード。そりゃクレーム来るだろ。なんか全体的に気持ち悪かった。恐らく"幅広い年代、様々な境遇の人に支持される神聖かまってちゃん"の姿を撮りたかったのだろうが、5歳であそこまで神聖かまってちゃんにのめり込む子どもは正直将来が心配だ。

映画を作るならもっと細かいところまでしっかりリサーチした上で作って欲しい。ツッコミどころが多すぎて正直悲しくなった。頼むからちゃんと作って欲しい。

最後のライブは実際のライブ映像を使ってることもあり良かった。そこだけ良かった。


もし神聖かまってちゃんのファンがこの映画を観るならば、メンバーが出てるシーン以外はぼんやりすることをお勧めする。
悪い意味でのクソ映画だ。
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