このレビューはネタバレを含みます
※ネタバレ有り
ある日突然連れ去られ、15年間監禁された男がその理由を探り、監禁した奴に対して復讐を企てる話。
久々に観たけどまぁ痛い(物理的に)。作中何度も顔をしかめるぐらいの痛いシーンがあって、これぞ韓国ノワールって感じ。
復讐の動機もその方法も近親相姦ってのがまた酷い。
催眠術ってそんな効くのか?と疑問に思うところがあるけれど、復讐としては120点の方法。あれやられたら誰でも発狂するわな…
主人公が決して最強な訳ではなく、所々で負けるのがいい。韓国映画の主人公は基本的に強いけど、最強じゃないですよって描写がちゃんとあるのが好き。人間味が増すような気がする。
個人的には敵役の演技が好き。ニヒルと哀れみが混じったようなあの感じは中々お目にかかれない。
「姉を妊娠させたのは俺の股間じゃなくお前の舌だ」
かなり好きな台詞です。
その後主人公が「口数の多い男」に戻るのも好き。めちゃめちゃ滑稽。醜い。あれ見せられたらもうどうでも良くなるよねとは思う。
ラストで主人公は重大な秘密を忘れる催眠術をかけてもらい、愛した女と抱擁を交わして終わる訳だが、ここで気になるのは催眠が成功しているのか否かという点だ。
主人公は抱擁しながら笑顔とも苦悶とも取れる表情をするため、判断がとても難しい。その顔はさながら彼が監禁されていた部屋にあった絵のよう。
監督は2人のその後について、「愛欲に溺れた生活を送る」と声明を出しているようなのでとりあえず真実が明るみになっていないことは確かだろう。
しかし私は催眠は失敗していると思う。あの主人公は真実を隠して背徳感に溺れることができる男だからだ。
一番可愛い女をずっと自分のそばに置いておきつつ、すべてを知った上で愛し合う。
双方が知っていないという点では異なるが、敵役とその姉の関係と非常に似た関係になる。
個人的には1番嫌なその後なので、そこまで思いつく監督さすがです。