tak

アサシンのtakのレビュー・感想・評価

アサシン(1993年製作の映画)
3.7
 リュック・ベッソンの「ニキータ」をハリウッドリメイク。好き嫌いは分かれるかもしれないけれど、「ニキータ」とは違う明快さがこの映画の魅力かな。これは何でもソツなくこなす映画監督であるジョン・バダムの仕事だからか。されどアクションがツボでもなく、主人公マギーの苦悩も描かれるがどうも今ひとつ深みがない印象も。でもオリジナルと大きく印象が違うのは、ガブリエル・バーン扮する上司ボブとのエピソード。

 この映画でのブリジット・フォンダは他の映画ではないくらいに熱演。そこは確かに魅力なのだが、「アサシン」で最も”いい役”だったのは何と言ってもガブリエル・バーンだろう。オリジナルのチャッキー・カリョをしのぐかっこよさ。マギーへの恋心とも親心とも言える心境が観ている側の男心をくすぐってくれる。

ラストシーンでマギーが愛聴していたニーナ・シモンのLPを手にとり、「ニーナ、好きなのか?」と尋ねられる場面。”ニーナ”はマギーの殺し屋としてのコードネームなのだ。ボブは「あぁ、愛している。」とつぶやく。彼の思いが凝縮されるラストシーンは何とも言えない余韻を残してくれる。ラストシーンがいい映画って、それまでに不満があってもすべて許せてしまう。これが好例。

 オリジナルにはないニーナ・シモンの使われ方がいいね。流行のポップス/ロックで飾り立てるのがハリウッドリメイクではありがちだけど、そうしなかったことが軽い印象になっていない。オリジナルではジャンヌ・モローが演じた教師役はアン・バンクロフト。貫禄を感じさせる。オリジナルでジャン・レノが演じた掃除屋(「レオン」の元ネタとなる)は、ハーベイ・カイテルが演じているのも面白い。タランティーノ監督のファンとしては、「パルプ・フィクション」の掃除屋を連想してしまうよね。冒頭のドラッグストア襲撃場面、チンピラたちに銃を向ける店主はジュリエット・ルイスのお父さんジェフリー・ルイス。
0件

    いいね!したユーザー

    tak

    tak

    楽しいことに努力を惜しまない、お熱いのがお好きな映画ファン。2019年キネマ旬報社主催 映画検定2級合格。ヨーロッパ映画、80年代カルチャーが大好物だけど、かなり雑食系。アニメも大っ好き。アイコン…

    楽しいことに努力を惜しまない、お熱いのがお好きな映画ファン。2019年キネマ旬報社主催 映画検定2級合格。ヨーロッパ映画、80年代カルチャーが大好物だけど、かなり雑食系。アニメも大っ好き。アイコンはジャン・リュック・ゴダール監督作「男性・女性」より。 ◇tak's Movie Awards 2024◇ 例年以上に新旧混じったベスト選出です。何を観たかで選んでるのであしからず。 https://blog.goo.ne.jp/tak-anakin-skywalker/e/a41821398925f956a20f9e011e390a15 ※フォローはご自由にどうぞ。たまにコメントくれると嬉しいです。 ブログ:Some Like It Hot https://blog.goo.ne.jp/tak-anakin-skywalker #「キル・ビル」のルーツを探せ #北九州ロケ映画 #名作映画ダイジェスト(1980)収録作