koya

レインマンのkoyaのレビュー・感想・評価

レインマン(1988年製作の映画)
5.0
 日本公開は1989年ですが、アカデミー賞の作品賞、監督賞、主演男優賞(ダスティン・ホフマン)、脚本賞を取っていて、完全に日本公開はアカデミー賞を待っていたって感じでしたね。
でも私はこの映画が公開されたとき観たのですが、今でも好きな映画の一本です。

 こうして観てみると、133分という時間の中で、レイモンド役のダスティン・ホフマンとチャーリー役のトム・クルーズ、この2人がずっと出ずっぱりなんですね。特に最初から最後までトム・クルーズは画面のどこかに映っていて、この時、べつの所では・・・はありません。
それだけ、この2人は重要だし、映画を背負っていると思います。

 トム・クルーズは、この映画と『ア・フュー・グッドメン』が好きで、特にこの映画では、ヒーローでも正義の味方でも、スターでもない、結構、あくどいというかいらいらした、俗っぽい青年です。
トム・クルーズはサングラスがよく似合う鼻の形をしていて、この撮影のとき25,6歳なのです、肌がとてもきれい。特に、首のあたりのラインとか美しくやはり普通の人ではないですよね。

 恋人ともう一人の仲間、3人でやっている車のディーラー事業が失敗しそうで、破綻寸前の男、チャーリー。
そんなとき、16歳で家を飛び出して、疎遠になっていた父が亡くなる。
しかし、莫大な遺産を相続する、と遺言したのは、その存在を知らなかった兄、レイモンド(ダスティン・ホフマン)

 とにかく金に困っているチャーリーは、知らなかった兄に全財産が行ってしまう事をしって激怒。
訪ねてみると、レイモンドはものすごく年上で、自閉症で施設にいました。

 少なくとも遺産の半分はもらう権利がある、と兄を拉致に近い形で連れ出して、裁判に持ち込もうとするチャーリー。
兄、レイモンドは、一般的な生活やコミュニケーションはとれない自閉症だけれど、ずばぬけた記憶力と数字に関する天才的な才能を持っています。

 なんとかしてロスに連れ出そうとしても、飛行機は嫌、ハイウエイも嫌・・・で車でアメリカ横断のロードムービーでもあります。
マイペースで自分の世界に引きこもっている兄と早く早くとひたすら焦っている弟。この2人が仲良く旅ができるわけがありません。

 あっちでどたばた、こっちでどたばたしながらロスへと向かうわけですが、なぜ、チャーリーは兄の存在を知らなかったのか、レイモンドの特殊な才能が意外な所で役立つ・・・レイモンドは自閉症なので、他の人の気持ちを考える、ということができない。しかし、余裕のないチャーリーも似たようなものなんですね。

 アメリカ横断の旅とはいえ、きれいな観光名所なんて出てきません。なんかアメリカってさびれてるのねぇ・・・みたいな所を旅していく。
でも、映像はとてもクリアで綺麗なんですね。きれいな風景をきれいに映すのは当たり前なのですが、この映画は「見えない美しさ」の映画です。

 バリー・レヴィンソン監督自身が医者の役で出てくる所を妙に覚えていました。

 ちなみに、記憶力が抜群で飛行機に乗ろうとすると、どの航空会社も過去、事故があった・・・と言い張り、嫌がるレイモンドですが、カンタス航空だけは、事故がない、と言います。そしてカンタス航空は未だに無事故だそう。
ただし、メルボルンに行ってしまうので、2人は乗れないのですが。
脚本もとてもよかったですね。長々とした台詞はなくて、わかりやすい。

 いい映画。
koya

koya