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ピアニストのYOU5521のレビュー・感想・評価

ピアニスト(2001年製作の映画)
3.8
こういう映画を知っていると「教養」になる。
どこの国にも過干渉な毒親はいるんだな
って分かる。
漫画『明日カノ』で雪と太陽が映画の話をする。
二人の境遇とそれらの映画がリンクする。
『ヴィオレッタ』に『ピアニスト』、
そして『猿楽町で会いましょう』。
題名だけで、母親との確執、辛い恋が
イメージされる。
それが「教養」。
唐突にヒロインのエリカがアダルトショップに入る。
好奇の目でみる男性客(奥に若いカップルの姿も)。
個室で男性客が残したティッシュを嗅ぎながら
口をへの字にして、AVを観る。
エロチック、ではなく歪んだものがにじみ出る。
それまでの厳格で静粛な流れに
淫靡な色が一気に流れ込む。
こんなことまで描くの?と思う。
バスルームでの自傷(自慰)や
屋外シアターでの放尿には嫌悪感しかない。
教え子の演奏に涙、その後一転陰湿な嫌がらせ。
あの涙はピュアなものではなく、
母親の愛情に対する妬みだったのか。
メイン・ビジュアルにもなっている
トイレでのキスシーンや性行為。
場所がトイレって、文化の違いかと思ったが、
ちっともロマンチックでも、エロくもないから
そういうことなのだろう。
「知的な顔して、クソ同然の中身か」
彼にはエリカを救って欲しかった。
セクシャルと心の痛みが連動するのは現代的。
鉄仮面のエリカが唯一表情を歪める、
ナイフを刺すシーンが白眉。
『明日カノ』で雪が勧めた理由を思った。
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