『鍵泥棒のメソッド』を勧めてくれた
知人に教えられて観てみた。
見事な布石と回収は、『鍵泥棒』同様
内田けんじ監督の十八番。飽きさせない。
宮田と真紀が初めて出会うレストランでの
長回しはほんと気まずい。
「誰でもいいんですか。
自分のものになりそうだったら
誰でもいいから好きになるんですか。
さっき会ったばかりなのに、
私のこと何にも知らないのに、変です」
まったくの正論だが…。
その後、『紙の月』の宮沢りえばり、
突然の宮田の爆走にあっとなる。
この展開はうまい。
意外なタクシー運転手の対応、
電話番号ではないよなと思ったが、
後で同じシーンが角度を変えて出てくる。
対応に失敗してるってこと。
板谷がいい人に見えたり違ったり。
『羅生門』か、『猿楽町』か、
はたまた三谷幸喜か。
えっ、そっちの時系列？
ヤクザのエピソードまであるとは。
轢かれそうになった「便利屋山ちゃん」も再度登場で
芸の細かさに唸る。
「こう突然じゃ、いい嘘も思いつかないか」
板谷の「何で？」という表情がうまい。
まさに布石と回収の妙。
「自分の欲望に忠実な人間ってのは魅力あるよ」
（峰不二子か）
探偵は板谷を救ってあげないんだ。
結局みんなアンラッキー。渋い。
