KouheiNakamura

シンドラーのリストのKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
4.5
スピルバーグ監督が初めてオスカーを手にした、記念すべき一作。
同じホロコーストをテーマにした『SHOAH』を手がけたクロード・ランズマン監督はこの映画を強く批判している。曰く、「ナチスによるホロコーストは娯楽映画として消費してはならない」と。

おそらくランズマン監督は映画終盤のシンドラーが自らの行いを後悔する場面のことを批判しているのだろう。しかし僕はここにこそ、娯楽映画監督としてのスピルバーグの矜持を感じた。
確かにホロコーストは人類史に残る恐るべき悪行である。しかし、事実を基にしたこの映画が訴えたかったことはその恐ろしさの先にある。このような事実を受け止め、学んだ「僕たち」はどうすべきか?決して完璧な善人ではないオスカー・シンドラーとナチスのアーモン少尉とのやり取りに何を感ずるべきなのか?その問いは僕たちに投げかけられている。
劇中のセリフで印象に残ったものが一つ。「真の権力(パワー)とは、それをふるう時に自制する力のことだ。」
僕たちに暴走する力を自制し、人の間違いを許す寛容さはあるのだろうか?

シンドラーの魂の叫びを無駄にしないように、まっすぐに生きたいと思わせてくれる一作でした。
KouheiNakamura

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