ふしみあい

カーズのふしみあいのレビュー・感想・評価

カーズ(2006年製作の映画)
5.0
カーズすごい!3の予告がなんだか格好いいから予習も兼ねて1を見てみたところ、すごい!これだけで完成されてる!

大まかなストーリーはよくある主人公成長タイプ。しかしアニメーションならではの表現がふんだんに使われ、とても重厚な内容。
カーズという作品をもともと全く知らなくていざ見ると全てが乗り物。乗り物の世界。ハリウッドのスターもカーレースのピットクルーもブンブン飛ぶ虫でさえも車。ある意味誰かの夢の中のような、結構狂気じみた設定だが、それが逆にこんな発想あったのかと見ていて楽しい。
バグズライフで虫たちの世界、トイストーリーでおもちゃの世界、ファインディング・ニモで海の中の世界などを描いたピクサーだが、今回は無機物、人の形すらしていない車の物語。それぞれの車種の特徴とか、高級車志向とかウィットに富んでいてすごく面白かった。

傲慢で空っぽだった主人公が自分がバカにしていた人々から学び、満たされていくという王道ストーリー。王道なだけに安心して見ていられる。しかしカーレースという勝負事の行方は最後まで想像できず、主人公マックィーンの成長に涙する。

車の話でしょと思って今まで見ていなかったけれど、車とか全然関係なかった。いやそもそも車の話ではあるけれど、もっと普遍的な、周りの人間関係の大切さ、伝え方、それらが巧みに車にすり替えられている。子供向けじゃない!

またアニメーションの部分でも、空間の描き出し方が半端なくすごかった。ルート66沿いの広大なアメリカの乾いた大地の砂埃、湾曲したレース場のコンクリートの臨場感、暗闇の中にひかるネオンたち。画面の中に奥行きがバーっと広がって一気に映画に引き込まれてしまう。

車の動きの表現も凝っていて前後に動くだけではなく、飛んだり跳ねたり、そんなことありなのかってぐらいいろんな動きをする。実にアニメーション的で、ディズニー・ピクサーが培ってきた技術の賜物だと思う。
子供用劇場アニメだと思ってなめてかかったらいけない作品だった。7月15日のカーズ3クロスロード、めちゃくちゃ期待!