オナラで始まってオナラで終わる。
馬鹿馬鹿しいと思うかもしれないが、事実そうだし、観る前と観た後ではオナラの意味が全く違うものになっているのが面白い。
スイスアーミーナイフのようにいろんな機能を持った死体・スイスアーミーマンことメニー。オナラの力でジェットスキーになったり、死後硬直で色々割ったり火を噴いたり。そんな死体を使ってポール・ダノ演じるハンクが森でサバイブするお話。
この時点でもうめちゃくちゃ面白い。
よくこれを映像化しようと思ったなという感じだし、ゴーサインを出したプロデューサーもすごい。
ダニエル・ラドクリフ、ハリポタシリーズでのイメージを覆すように変な映画に出まくってるよね…そして確かな演技力、画面映え、一人の役者としてめちゃくちゃいい具合に仕上がっていた。ハリポタ1の頃はあんなに可愛かったのになあ…!
死体だけどゾンビではない。その匙加減が難しいと語っていたが、絶妙だった。
片目が開ききっていないという演出はダニエル・ラドクリフ発案のものだそうで、実際ずっと片目が開ききっていない演技をしている。すごい。
また、森でポール・ダノが死体を背負って歩くシーンは、ほぼ本当にダニエル・ラドクリフを背負っていたらしい。段々と体つきや顔つきが変わっていく様がリアルだった。
あとオープニングが最高最強にイイ!
タイトルが出るところの疾走感を失わずに全力疾走する。
止めるところはきちんと止める。二人の関係性、二人の夢、幻想か、現実か。ミュージックビデオを多数作って来たダニエルズだからこその映像。
そして音楽は実際の森の音を使って作られたそうで、その映像美と不思議な音楽が心地よい。
ラストシーンの切れ味もすごくて、途中意味がよくわからないカットとか入るものの、そうなるのか…とオナラに涙する。
いい意味で期待を裏切られ続け、最後は爽快感すらも感じさせる、新たなヒーロー・メニーが誕生した瞬間だった。