ふしみあい

新感染 ファイナル・エクスプレスのふしみあいのレビュー・感想・評価

5.0
人間ドラマとしてもアクションとしても、もちろんゾンビ映画・パニックムービーとしても、全てにおいて作り込みが異常。
全てのゲージ振り切って針が千切れ飛ぶレベル。

パンデミックが起きた時に愛する人と一緒に居られることの大切さ。たとえ逃げ切れないとしても。最期の時を共に過ごせることが、ウイルスが蔓延した世界で1番幸せなことなのかもしれない。

緊張と緩和の連続。そして動と静。
シンプルに怖いゾンビ、それに対してむき出しになる人間の本性。疾走感のある電車と、同じくスピードも量もバーストしてるゾンビ。デジタル時代の技術の賜物というか今の時代だからこそ、みられる映画。カメラが止まってる時があんまりなくて、どうやって撮ってるのかわからない場面がたくさん。
また一枚の画としてもめちゃめちゃかっこいいシーンが多々あった。

音楽がマッドマックスっぽいというか、こちらの焦りや不安をどんどん掻き立て、ぐんぐん映画の中に引き込む。
徐々にわかってくるゾンビの特性を生かしたアクションもアイデア満載で最高に楽しい。
物語の起伏がこれでもかというぐらい盛り沢山で利己的だった主人公がそれらをひとつひとつ乗り越えるたびに変わっていく様をみて涙。その起伏点も全然破綻したところがないのに、予想できるような出来事ではなくてずっとドキドキハラハラ。

大切な人と逃げ切りたいのは山々だ。むしろ、大切な人と自分が助かれば他人なんてどうでもいい。それが逆に足枷となってどんどん悪循環を巻き起こしてゆく様は観ていていたたまれなくなった。
自分はどういう振る舞いをしてしまうのだろうか。そもそも50m 10.5秒の私は全力疾走してもゾンビに追いつかれるからたぶん開始1分でゾンビサイドだと思う。
もしこんなことが起きたら〜、と考えながら観てしまうのもゾンビ映画の醍醐味だと思う。

死んで欲しくない人が次々とゾンビ化していき、嫌な奴ほど生き残る。しかし最後は救いのあるものだった。心からホッとした。希望を感じさせる良い終わり方だったと思う。

また子役の女の子の演技がすごかった。春のコクソンといい、韓国の女の子は無表情で泣いて叫んでが得意なのかな?子役が出る映画ってとにかく子役の演技力のなさに気が散りがちだけど、むしろ今作では彼女の演技にグイグイ引き込まれた。その他の面々ももちろんいうまでもない。

今年No.1ビクつき映画だった。運転手さんの「びっくりした〜〜」には笑った。こっちのセリフ!!!
韓国映画、今年たくさん観てるから言葉覚えてきた。アジョシ!(おじさん!)