ふしみあい

ドリームのふしみあいのレビュー・感想・評価

ドリーム(2016年製作の映画)
5.0
「ドリーム 私たちのアポロ計画」という副題で炎上したからか、公開すぐのファーストデイは満席、今日はスクリーンが大きくなっていた。でもそんな副題炎上商法なんて霞むくらい、めちゃくちゃ面白い映画だった!!

冒頭の車のシーンから黒人女性3人組のそれぞれの性格や役割、関係性がしっかりと描かれ、引き込まれる。
60年代のオールドカーや女性のファッション、髪型が可愛い!それだけでなく、黒人がアメリカで生きることの大変さや街の不穏な空気がずっと流れていた。

しかし今作の主人公である女性たちは、強くて、そして何より賢い。NASAで計算係として働く彼女たちが数字に強いのはもちろん、黒人女性としての振る舞い、しかしそこに見え隠れする強い意志、それらが鋭く繰り出される。演じる女優さんたちみんなすごかった。目線とか口調とか仕草とか。そもそもあんなピンヒールで走るのがもうやばい。痛いだろなあ…

原題「hidden figures」が「ドリーム」になり、なんか平凡だなあ、と思っていたが観てみると割と良かった。というか邦題を思い出してまた涙が出る、なんてこともあった。

主人公とその親友たちは女性で、しかも黒人だ。普通には生きられない。差別と直接戦うのではなく、彼女たちのやり方で周囲を認めさせていく。そして彼女たちは"夢"を持っている。また、彼女たちだけではなく、NASAで働く職員全員も持っている。そしてその"夢"の方向はみんな同じだ。その純粋な思いが、差別も偏見も超え、一つの終着点へと収束していくのに涙が溢れた。

あとムーンライトのマハーシャラ・アリが出ていてびっくりした。本当いい演技するなあ。

伏線の回収もさりげなくて好きだった。
実話ものにありがちなご本人登場エンドロールは、またしても、という感じだったがお約束のように泣けた。

ケビン・コスナー演じるキャサリンの上司は単純にカッコよかった。彼自身も純粋な科学者で誰よりも熱い思いを持っているというのが伝わってきた。私的、こんな上司の下で働きたいランキング、マイインターンのアンハサウェイを抜いて堂々1位!

普通に物語として面白いのと、画面の色味が綺麗で没頭していた。最後の展開は本当にハラハラしたし、とにかく始めから最後まで涙目なシーンが多々あった。