氷雨水葵

劇場版 空の境界/第二章 殺人考察(前)の氷雨水葵のレビュー・感想・評価

3.8
2023年119本目(2023年ラストムービー)

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◆あらすじ
1995年4月、高校生の黒桐幹也(CV:鈴村健一)は入学式で一人の少女と再会する。

3月、雪降る街で出会った不思議な眼差しを持つ少女、両儀式(CV:坂本真綾)だ。

やがて、幹也は彼女のなかにいるもう一人の人格「識」の存在を知る―――。

◆感想
「俯瞰風景」に続き鑑賞!毎月2作品ずつ観ていこうかな。

前章とは違い、式と幹也の日常をしっとりゆっくり描いた本作。時系列でいうと最初にくるエピソードで、3月に2人が出会い、夏休みの終わりに連続殺人が起こるという内容です。式のなかにもう一人の人格「識」がいることが判明する大事なエピソードですが、ずっと緩やかに進むので若干退屈ではありました(苦笑)とはいえ、少女の部分がまだ多い式と、悪魔的に聖人のような幹也の束の間の日常風景を見れるのは嬉しい。所々に伏線があり、2人の関係が少しずつ構築されていくのもよくて、見どころとしては前章と同じくらいあります。式に一目惚れして、普通じゃない式以上に普通じゃない幹也にぞっとするのも見どころです(笑)相当いかれてるな…アハハ。

前章でも思ったけど、謎が紐解かれていく一方で答えは一切出ない感じがOVA的で良い。2人の出会いを描きつつも、結局犯人は分からないし、ラストの式の行動と涙の理由も明かされない。だからこそ7章に分けて描いているのだけれど…(笑)
個人的にお気に入りのシーンは、幹也が駅から引き返したときの石畳のシーン。ぐじゅと血の流れる音と血まみれで竹林に佇み笑う式の姿が好き。凄惨な描写ではあるものの、竹林に差し込む月明かりが美しく、坂本真綾の少々冷たげな声が五臓六腑にずしっときます。やっぱりufotableの作画は素晴らしい。一切派手なシーンはないのに、どこを切り取っても芸術的で魅入ってしまいますね。
終盤の凶行のシーンで式が「私はお前を殺したい」って、ちょっと切なげな声で言うのたまらない。殺人衝動を抑えられない感がにじみ出ていて、やっぱり坂本真綾さんの演技すごいな。

そして、本作のエンディングテーマ『君が光に変えていく』も良い曲でした。個人的にはobliviousが神曲だからあんまり印象には残らなかったけれど、梶浦由記×Kalafinaってだけで嬉しい。


◆ご挨拶
2023年、恐らくラスト鑑賞となりますのでご挨拶をば。
今年も1年間、いいねや新規フォローなどありがとうございました!
ウルトラ主観による感想がほとんどな中、読んでいただいてとても嬉しかったです☺
皆さま、どうぞ良いお年をお迎えください。
2024年もたくさんの映画とフォロワー様に出会えますように。

・集計
初見119本、鑑賞し直し50本

ちなみに2023年ベスト10はこちら
①生きる
②劇場版PPP
③ゲゲゲ
④SMILE
⑤死霊のはらわた ライジング
⑥ベニー・ラブズ・ユー
⑦M3GAN/ミーガン
⑧フェイブルマンズ
⑨イニシェリン島の精霊
⑩ベネデッタ
氷雨水葵

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