滝和也

アビス/完全版の滝和也のレビュー・感想・評価

アビス/完全版(1993年製作の映画)
3.5
ノンマルトの使者か
未知との遭遇か…

地球の7割を占める海
その深淵、深海は
未だ誰も到達できぬ
未知の世界…。
そこに彼らはいた…。

「アビス 完全版」

今やエンターテイメントの巨匠となったジェームズ・キャメロン監督作品。エイリアン2とT-2の間のオリジナル作品です。完全版を今回見たのですが、如何せん長い長い…(笑)非常に見せ場が多く作られていますので飽きは来ないのですが…(^^)

米原潜が突然消息を絶った。沈没海域にはハリケーンが迫り、救援部隊として近隣にある海底資源採掘用基地、ディープコアのメンバーに依頼が来る。軍の少数の精鋭部隊が到着。それと一緒にコアのボス、バッドの別居中のカミさんであり、コアの設計担当であるリンジーも到着。潜水艦の捜索が始まるが…。

エイリアン2で外惑星、宇宙での徹頭徹尾のバトルアクションを描いたキャメロンですが、こちらはでは海洋に舞台を移し、パニックサスペンスのエッセンスを用いたファンタジーであるSFを撮り上げています。

深淵から来たものが物語のキーになるのですが、途中はほぼ海底基地遭難によるパニックモノ、原潜に積まれた核の危機でストーリーが紡がれます。そこに描かれているのは人間の愚かさだったりします。それと対象的に描かれているのがバッドとリンジーの夫婦が愛を取り戻していく姿。まぁ…ハリウッド映画の基本ですよね。

ラスト近くまで引っ張り、未知との遭遇に至るのですが、前述した前振りが効いていて…という展開になりますので、まぁ脚本的には普通に上手くいっている。勿論初期CGと特撮を組み合わせたファンタジー的なシーン、ちょっとしたバトルシーンも流石ハリウッドのイメージ通りです。CGは後のT-1000につながるあのアイデアですね(^^)また海、水の質感や舞台づくりの苦労も見えますし。

ただ…やっぱり長いですよ。海底基地のディテールに凝りすぎ、舞台を作り込み過ぎ故にやや冗長のきらいはありますね。海洋モノゆえにユックリ気味。イベントを増やして、飽きさせない様にするのはわかりますが…如何せんテンポはイマイチかなと。エイリアン2の畳み掛けの様な感じまでは行ってないですよね。

主演のバッド役エド・ハリスは上手いですし、わめきまくるカミさんリンジー役メアリー・エリザベスさんもそこそこ。前半うるさいですが…後半はいい。はハスラー2のヒロインの方でしたね。

ただ一番らしさが出てたのはキャメロン作品常連のマイケル・ビーン。この時期乗ってましたからね。今作では引っ掻き回す役でしたが、中々狂ってる(笑)良い役ではないですが、美味しい役でした。

まぁ…深淵から来るものは…ノンマルト的(笑)ウルトラセブン好きな方にはわかるかな。異星人でもどちらでも良いんですが(笑)

うーん、他の作品が良過ぎてイマイチ目立たない作品ですが、その拘りはやはりキャメロン監督作品だなと思わせてくれます。お暇な時にゆったり見るなら良いと思いますね(^^)
滝和也

滝和也