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おもちゃの国の10000lyfhのネタバレレビュー・内容・結末

おもちゃの国(2007年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

親友のユダヤ少年とその両親の「おもちゃの国への旅」に同行しようとした、無垢なドイツ少年が見たホロコーストの強制連行。14分にホロコーストの本質が凝縮、無駄な瞬間が数秒たりともない。貨車に押し込められた人々の姿は、知っていても刺さる。その列車を筆頭に、当時の再現は完璧、つまり、興行で回収できない短編にしては高そうな製作費に、ホロコーストを風化させないという製作者たちの熱を感じる。母と少年(フラッシュバック)の 2本の時系列が頻繁に入れ替わるが、分かりやすい内容とはいえ全く混乱しないのは、優れた脚本の証。息子が行方不明のパニック状態から、察しと機転をきかせ過ぎな母の言動は非現実的だが、オフスクリーンで息子の所在を確認済みだったのか?など、解釈の幅も残す。トリッキーな急展開で作品を際立たせるのは、短編の宿命かもだが、もやりも残した。当時は存在していないナイマン風ポストミニマルなピアノが「これは昔話でなく現代でも起こりうる」との警鐘のように鳴り響く
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