リッキー

おとなのけんかのリッキーのレビュー・感想・評価

おとなのけんか(2011年製作の映画)
4.1
992本目。190330
久しぶりにジョディ·フォスター出演の作品を鑑賞しました。
本作品を鑑賞するまで知りませんでしたが、演劇の傑作を映画化にしたものでした。

物語は子どものけんかが発端になり、前歯2本を折る怪我をさせられた被害者側の家を、加害者側の親がお詫びの挨拶をかねて訪問しています。
よって主な登場人物は2組の夫婦で大人4人です。
以下に登場人物の関係を記します。

a:被害者の妻ペネロペ(ジョディー·フォスター)作家
A:被害者の父マイケル(ジョン·C·ライリー)金物商
b:加害者の妻 ナンシー(ケイト·ウィンスレット)投資ブローカー
B:加害者の父 アラン(クリストフ·ヴァルツ)弁護士
演者4人ともアカデミー賞受賞歴がある、豪華メンバーでの会話劇です。

初対面の2組の夫婦は、序盤はよそよそしいながらも理性を保ち、感情を抑えて大人の対応をとっています。
しかし、アランが頻繁に使用する携帯電話によって場の雲行きが怪しくなり、マイケルが「モルモット」にした仕打ちが怒りの導火線に火をつけ、やたら正義を振りかざすペネロペに煽られ、ナンシーの飲酒と嘔吐によって4人の本音が爆発して、けんかの構図がめまぐるしく変わっていきます。
始めは被害者側と加害者側の対立(Aa対Bb)だったはずなのに、個人同士の対立(a対B、A対b、 A対B、a対b)、夫婦喧嘩(A対a、 B対b)、それから性別による(AB対ab)とすべての組み合わせで対立しました。

加害者夫婦には何度も帰るチャンスはありましたが、その度に引き戻されます。その都度コートを着たり脱いだりして、話を仕切り直そうとしていましたが、上手くいかず悪い方向に進んでしまいました。

ニューヨークが舞台なため、アメリカ映画だと思いきや欧州の製作でした。
ディベートが市民権を得ているヨーロッパ人にはあるある話なのかもしれませんが、この手のやりとりが不得意の日本人には理解しづらく、ある一定の世代の方には受け入れられないでしょうね。

最近は中だるみしがちな2時間超えの作品も多い中、80分と短くまとめられていて、実力のある役者さん達の会話に集中して観ることができました。ラストシーンも秀逸です。
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