まぐ

アンタッチャブルのまぐのネタバレレビュー・内容・結末

アンタッチャブル(1987年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

本当に緊迫したシーンほど静かにゆっくりと。決着がつくまで息をつく暇もないほど退屈させないサスペンスでした!

筋自体は単純明快で、誰も信用できない街で正義感の強いたった4人のアンタッチャブルが、悪の親玉を捕まえるために立ち上がるという王道中の王道です。しかしその魅せ方がこの映画を名作たらしめている所以でしょう。
何の影だろう?という疑問を与え、引っ張って引っ張って想像を裏切ってくるオープニングから始まり、全てのシーンが引っ張りになって進んでいくので、終始退屈はしなかったです。特にネスの家族が狙われ始めてからはカポネを捕まえるまで息をつく暇もないほどです。4人も、ただ正義を貫くだけではないところに人間味を感じます。

自分へのメモも兼ねて、特に好きなシーンを列挙しておきます。
○最初に酒の取引現場に潜入するシーン。サスペンスの王道パターンですが、やはり主人公が歩いていく先を見せないカメラワークは緊張させられます。
○アンタッチャブル結成後、郵便局に銃を持って乗り込むシーン。4人が巨大な悪を敵に回す覚悟を決める瞬間です。音楽も最高にかっこいい。
○カポネがバットを持って丸テーブルを歩き回るシーン。絶対に髭剃り失敗したあいつ殴られる…と思っていたらスルーしたので、あれ?となりますが、やはり戻って行ってボコボコに…の流れが見事。ある意味カポネの残忍さが始めて観客に伝わるシーンですが、この後にネスの幸せな家族団欒シーンを持ってくるカット割りも良いです。
○マローンの家に潜入するナイフ使いの主観長回しはよかったです。その後こちらの予想を二度ほど裏切る展開も良いし、何より敵の視点を入れることで映画の換気になっていました。駆けつけたネスがマローンが言いたいことになかなか気づかないのも焦れったいです。直前まで気持ちが折れていたネスへのマローンの「打つ手を見つけろ!」という遺言には泣かされました。
○駅で敵を待ち伏せるシーン。焦らされまくっていきなり発砲、の流れも良いですが、乳母車というアイテム1つでシーンが見違える最高の例だと思いました。戦いに影響を及ぼす上に中に乗っているのは子供という、ネスにはどうしても守りたいものであるという意味では、観客はネスの心配をしつつ子供の心配もさせられることになり息がつけないシーンです。さらに子供の、見方によっては不気味な無邪気な笑顔、泣き声まで嵐の前の静けさを演出するのに使われており、余すところがありません。スローモーションになるのも焦らしに近いですが、本当によく練られたシーンだと感じました。
○裁判長が陪審員を入れ替えることを認めたシーン。ここでウォーレスの帳簿が役に立つとは…!この後潔く相手の検事が有罪を認めるのも冗長さがなくよかったです。ここでネスがカポネに言い放つ言葉はカポネが前に記者に言っていた言葉と同じで、皮肉たっぷりでした笑
○マローンの鍵越しのネスとストーンの握手は激アツです。その前に一度握手を交わしているから、この握手はマローンの分なのかな、なんて考えたり。

とにかく焦らし、焦らしの連続で、終わった後の勝利の余韻が半端ない映画でした。そりゃ名作と呼ばれるよな、って感じです。

主人公の家族を避難後もう一度危機に晒すのもアリだったのかなというのと、ストーンとマローンの名前が似てるのだけはどうにかして欲しかったですが笑
まぐ

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