砂場

1941の砂場のレビュー・感想・評価

1941(1979年製作の映画)
2.5
🎥🎥🎥
僕は基本的に映画に甘いので、大体3.5以上つける。まあちょっとでもいいところがあれば全体的にしょぼくても3.5以上ですね。
映画というもの自体が楽しいので点が甘くなってしまうのです
どうしても感性が合わない「はじまりへの旅」が2.0だったかな、、、
今回久しぶりに2点代のスコアだ!

数十年前に見た時はあの観覧車🎡のシーンも印象的だしまあまあ面白かった気がしたんですが、今回見てこんなに酷いとは思わなかったw
”逆に良い”とかもなく、普通にダメでしょこれ
ではまずはあらすじから


ーーーあらすじーーー
■日本軍の真珠湾攻撃、第二波を恐れたアメリカ🇺🇸は防衛体制を強化
■霧の中、一人の寒中水泳クラブの女性が海で泳ぐ、ジョーズ風テーマ、
下から現れたのは日本の潜水艦だった。艦長のミタムラ(三船敏郎)はハリウッドを攻撃してアメリカの意欲を下げる作戦を考えた、同乗していたドイツ軍のウォルフガング大佐(クリストファー・リー)は危険だと大反対。
■戦闘機を道路に着地させガソリンスタンドで給油するいかれたパイロットケルソー(ジョン・べルーシ)
■B17爆撃機でエクスタシーを感じてしまう秘書のドナ(ナンシー・アレン)、久しぶりだねとバークヘッド大尉(ティム・マティソン)は彼女を狙う。ドナとバークヘッドは操縦席でイチャイチャしていると、手が爆弾の投下レバーに触れ、爆弾💣が落下し大爆発
■家の庭を対艦砲の基地にするウォード(ネッドビーティー)
■ミタムラ艦長の送った忍者🥷が"ホリーウッド"のトラック運転手をハリウッドと間違えて勾留
手荷物からおもちゃのコンパスが出てきて、日本軍はそれを徴収しようとするがホリーウッドはそれを飲み込む、、下剤で出せという日本軍。
■遊園地、観覧車に乗るが途中で止まってしまう、焦るクロード(マーレイ・ハミルトン)
■司令官ジョセフ中将(ロバート・スタック)は映画の「ダンボ」が楽しみで仕方がない。
■ダンスパーティーでの女の子取り合いからの大乱闘
■秘書のドナとバークヘッドは爆撃機で出撃しながらいちゃつく
■ダンスパーティーのホールでは乱闘でメチャクチャになり司会者はこれでお開きニグロを差別して楽しもうと言う。
■ドナの乗った爆撃機が街に侵入、ジャップだジャップだと大騒ぎで、高射砲を撃つ。
戦車乗りのトッリー軍曹(ダン・エクロイド)は防衛体制だ街の明かりを消せ、ジャップを撃ち落とせとマシンガンをぶっ放しながら兵を鼓舞する。
■ケルソーの戦闘機もまたジャップの爆撃機と勘違いし攻撃し、ドナの乗った爆撃機は墜落。
ケルソーは意気揚々と次はジャップの潜水艦だ!と鼻息荒い。
■観覧車のクロードが撃った弾がケルソーの戦闘機に当たり墜落。


<💢以下ネタバレあり💢>
■ミタムラ艦長は遊園地の観覧車を見てこれがハリウッドだと思い、艦砲射撃をする。
やめろというウォルフガング大佐を海に落とし撃ち殺す
■自宅に設置した対艦砲を潜水艦に向けて撃つが自宅に当たって大穴が空いた
潜水艦の撃った砲弾が観覧車に当たり軸を外れ地面を転がり出して海に落下した
■ハリウッド攻撃成功ということで潜水艦は潜航、それを見たウォードはジャップを撃沈したと勘違いし大喜び。
ウォードが玄関に記念のリーフを釘で打ち付けるとドア1枚を残して家全体が海に落下しバラバラになった。
ーーーあらすじ終わりーーー



🎥🎥🎥
スピルバーグは何をやりたかったのか、、先行する戦争コメディものというと「博士の異常な愛情」(1964)、「M★A★S★H」(1970)、「キャッチ22」(1970)など有名作が思い浮かぶがどれも今でも色褪せない鋭さを持っている作品だ。「1941」と何が違うのだろうか、、
先行する諸作品は、戦争の狂気を描いていて意図的に誇張することで狂気の先にある笑いみたいなところがある。その結果エンタメとしても面白いし、巨大な権力=アメリカ軍を笑い飛ばす部分に痛快さもある。
一方で「1941」にはドタバタ劇はあるんだけど狂気を感じないし痛快さもない。

それかスピルバーグの狙いはもっとシンプルなギャグ映画だったのかな?だとしても肝心のギャグ部分は笑えなかったなあ。ドタバタとか下品なのは嫌いじゃないけどスピルバーグは得意ではないのかも
公開時に宣伝で大プッシュしてた観覧車ゴロゴロは良い!
ハリウッドを攻撃するというのはなかなか面白いアイディアだと思う。遊園地じゃなくて実際のハリウッドを攻撃した方が良かったのではないか。逃げ惑う有名監督や俳優たちみたいな、、
そこまでできないのは、やはりスピルバーグはアンチハリウッドの人じゃないのだろう。

誤射について。
ミタムラ艦長はハリウッドを狙って間違えて観覧車を撃つ、米軍も友軍機を二機日本軍と間違えて誤射する、自宅の野砲で潜水艦を撃つつもりが家に当たってしまう。
合計4回の誤射がこの映画には描かれている、この誤射が物語を駆動させるエンジンになりますが流石に誤射4回は多すぎる。そもそもあんな至近距離で友軍機を間違って撃つのか?という疑問もある。誤射はこの手の映画ではカタルシスをもたらすものであり観覧車1回に全エネルギーを集約すべきだったでしょう。

ジャップ、ジャップ連呼について、僕はある文脈では映画内の差別用語は許容する派です。例えばフルメタルジャケットのハートマン教官「俺はキビしいが公平だ。人種差別は許さん。黒豚、ユダ豚、イタ豚を俺は見下さん。」
これはこのキャラの文脈の中ではありだと思うし、ギャグとしても成立しつつ実は巧みにバランスを取っている。
一方で「1941」ではジャップと黒人差別(「ニグロを差別して楽しみましょう」という司会者)はあるけども
他の人種についての言及はない。観客も特定の人種だけを差別するギャグは笑いにくいものである、笑ったら差別に加担しているように思うからだ。
ここはキューブリック先生のように世界を全部同時に敵に回す思い切りがギャグとしては必要だったのではないだろうか。
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