円柱野郎

クヒオ大佐の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

クヒオ大佐(2009年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

主人公の結婚詐欺師“クヒオ大佐”を演じるのは、鼻が高くなった堺雅人。
それにカタコトの日本語が合わさって、なんとも言えず中途半端な胡散臭さが良い。
ただ全体的にはマッタリとした雰囲気で話が進むので、コメディとしては少々スローテンポだし畳みかける様な笑いは無いかな。
クスっとはするんだけどね…。
序盤の状況説明的な進行部分では特にそういった感じだった。
話が動き出すのは、クヒオの正体を看破した被害者の弟が恐喝に現れてからか。
中盤はそれなりに笑わせてもらいました。

構成として面白いなあと思うのは、上映開始後にいきなり第一部「血と砂と金」が仰々しく始まり、そこで湾岸戦争の情勢を描いた政治劇を見せられて、いったい何の映画を観に来たのかと思わせたところ。
数分後に(本編である)第二部「クヒオ大佐」が始まるわけだけど、湾岸戦争時に米国に資金を求められて言われるがままに出した日本と、結婚詐欺師(クヒオ大佐)に騙されて言われるがままにお金を出した女性(主に弁当屋の社長)をダブらせるとは…、なんともブラックw

終盤に詐欺について「相手が望むことをしてあげただけだ!」と言う場面は、クヒオが銀座のホステスの言葉を丸々流用したわけで、彼のオリジナリティの無さの表現。
それと同時に、傲慢な態度の米国とオーバーラップさせた批判とも受け取れ、ただのバカなコメディにしようというつもりはないという制作の気概は感じました。

それにしても詐欺の武器は、いつの世もやっぱり肩書きと制服ですか。
これは「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」の時代と変わらないねw
円柱野郎

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