ハル奮闘篇

のど自慢のハル奮闘篇のレビュー・感想・評価

のど自慢(1999年製作の映画)
4.0
【 おバカな焼き鳥おじさん大友康平の アツいひとこと 】 

 「NHKのど自慢」の予選に合格し、番組出場することに願いを託す人々のさまざまな人間模様。「ガキ帝国」「岸和田少年愚連隊」「パッチギ!」などと同様、井筒監督の得意な群像劇。
  
 主な登場人物は売れない演歌歌手の室井滋、思春期真っただ中の伊藤歩、離れ離れになる孫に歌を捧げたい北村和夫。個人タクシーにカラオケセットを積んでいる運ちゃんの竹中直人は、ほぼほぼ周防正幸の映画に出てくるキャラ(笑)。予選会に臨むそれぞれの人生模様が並行して描かれます。

 そしてもう一人、何をやってもうまくいかず、でもフランチャイズ店「焼き鳥ピーコちゃん」を経営することに人生の再起を賭ける荒木という男。演じるのはハウンドドッグの大友康平です。
 不器用ながら、一生懸命焼き鳥を焼く練習をしている。ところが、不運なことにのど自慢の予選会と、ピーコちゃんの本採用試験の日が重なっちゃった!
 
 どっちも諦めたくない!夜遅くまで、歌と焼き鳥を練習する荒木の身体を、妻や娘たちは心配している。
 その娘に荒木が言う台詞がとても印象的です。

 「人生で必要なのはさぁ、ガッツとファイト、この二つなんだよ!」

 「ほぼ同じじゃね?」と思わずとツッこんでしまいますが、でも、これ、かなり重要な台詞なんですよね。この一言で、荒木が「熱い男」で、且つ「おバカ」であることが観客に伝わりますからね。

 人情喜劇なので、どうしてもタッチがややベタつく感じはありますが、よく出来た映画です。加えて、やっぱり歌の力が大きいですね。

 果たして、荒木は焼き鳥ピーコちゃんの採用試験に合格できるのか。そしてのど自慢の予選会は!? ほかの登場人物たちは!?

 ところで、荒木が予選会で歌うのは、尾崎紀世彦の名曲「また逢う日まで」です。

 では、以下、大友康平の声で脳内再生してみてください。

 ♪ぁふったりで・ドアを・しめてええええ
  ぉふたりで・なまえ・消~してええええ
  そんのとき・こころは何かをおーーーっ
  はーなすー・だろおおおおおおおおおーっ

 鮮明にイメージ出来た方、おめでとうございます。
 僕と同世代です(笑)
 ありがとうございました!