てつこてつ

悪い男のてつこてつのレビュー・感想・評価

悪い男(2001年製作の映画)
3.3
ホントに悪い男だなあ。男の自分が見ても、このヤクザ者の主人公の行動には全くもって共感できない。

冒頭に唐突に恋人と一緒にいる女子大生の唇を奪い、弟分を使って上手く彼女を騙し借金の形として娼婦に身を堕とさせる流れ・・客とヒロインの行為は鏡越しに覗きはするものの、自分自身は決して彼女を抱こうとしない。

これは純愛でもなく、ただのサディスティックなフェチだろうと思っていたところ、中盤以降になって、何故、彼が彼女にそこまで執着するのかが明らかになる。それを知っても、全くもって主人公には共感できない、ちと強引な展開。まあ、キム・ギドクらしいと言えばそれまで。

ギドク監督作品にありがちな一言も台詞を発さない主人公かと思いきや、終盤で肝となる台詞を唐突に発するのだが、それが作品のテーマなのだとしたら、あまりにもありがちで、かつ、安っぽい。

にしても、なんとまあ生命力の強い主人公。レンガで後頭部殴られようが、鋭利な巨大なガラス片で刺されようが絶対に死なない。

風営法が日本よりもよほど厳しいと聞いている韓国で、そもそも、アムステルダムやバンコクのような分かりやすく女の子を店先に立たせる娼館なんて実在するのかな?

終盤の弟分との絡みとか、ストーリーの一貫性が削がれ、ギドク監督作品にしては、やや雑な流れ。時間の流れが不明確だが、ヒロインの心情の流れにもやや無理がある。

ただ、このエンディングはギドクらしいし、彼の作品にしては珍しく、ある意味ハッピーエンド。

ストーリーや世界観は全くもってして好みではないが、目ヂカラが強い主人公を演じたチョ・ジェヘン、女子大生から娼婦に身を堕とすヒロイン役のソ・ウォンのキャスティングは抜群にハマっていて、それだけで最後まで見てしまった。
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